トロントのマックで就職の厳しさを考える | トロントのお散歩

トロントのお散歩

カナダ・トロント在住、キリスト教会の牧師が、普段のトロントでの生活や、考えていることを書き綴ります。

冬の間は滅多に行かないが、少しずつ暖かくなったせいか、時折どうしてもマクドナルドのカフェ・フラッペが飲みたくなる時がある。





それで夕方、家の近くのマックに歩いて行って、日が差し込む暖かい窓際でカフェ・フラッペを飲みながら一休みしていた。




すると、お店のマネジャーらしき恰幅のいいメキシコ系の女性が、店内で次々とアルバイト希望者らしき人たちと要領よく面接を開始したのだ。


1人の女性が面接を終えたと思ったら、近くの席に座っていた若い男性が面接を始めて、次々と4名の若い男女たちとの面接を済ませていった。


みな大学生くらいだったが、トロントではアルバイトを始めるのは大変だと聞く。


日本だと面接してすぐに採用されるのだろうが、こちらはバイトさえもコネというか、知り合いや同じ国や文化の人を優先して採用する傾向があるようだ


あまりにも多くの民族や異なる文化の人々が住んでいる土地柄のせいか、履歴書だけでは本当の人柄などというところは判断できないということらしい。


私の娘も数年前の夏、トロントでアルバイトをする際、スーパーの寿司販売店で日本人女性のマネージャーと面接をして採用された。





しかもバイトに関係のない私の妻が、そのマネージャーから「働けそうな日本人がいたら紹介してください」とも言われていた。


信頼できる真面目で即戦力の人材が欲しいのは、やはりどこでも変わらないようだ。


トロントでのバイトは、LAのようではないが割と時給が良い。


私の次男と三男は、通っているクリスチャンの高校で先生の手伝いや学生寮でのアルバイトをしているが、毎日1-2時間ほど働いており、時給1500円くらいだ。





日本では高校生がこんな高い時給をもらえることはないのだろうが、トロント周辺は物価が高いので仕方がない。


また彼らの稼ぐお金は、自分の小遣いではなく、すべて彼らの学費にプラスされることになる。私立の学費は高いのだ。


去年、私の教会の若者がトロントの有名な大学のコンピュータサイエンスの学部を卒業したが就職できず、専門の職種に就く前にまず経験を積む必要があるとのことで、つい最近ようやく専門ではない、経験を積むための会社(?)に入社したそうだ。

 

 

もちろん、看護師や専門職などの職種によっては、すぐに採用される。


ただ、優秀な若手の人材は多いが、入社して即戦力の人材が求められているそうで、まず経験を問われる。


大学新卒で経験も何もないものだが、良いところへの就職は経験を積んでから、あるいは大学院の修士課程や博士課程が終わってからとなるらしい。


私の子供たちもその辺のことは周囲から聞いているらしく、大学が終わってもすぐに就職できるのが理想だが、楽観視はしていないようだ。


そのために若者たちはバイトをしながら勉強を続けたりするのだが、親のサポートはなかなか終わらない。


マックの隣の席で、5人目のバイト希望の男性が面接を始めた。





顔がピアスだらけでスキンヘッド、しかも頭皮が刺青で覆われているゴツい男性だ。


「コイツは絶対に採用されないなぁ」などと失礼なことを考えながら、私は春めいてきたトロントの街を歩きながら家に帰った。

 

 

 

 

それではまた次のお散歩の時に。

Until our paths cross again!