愛を求める人々 韓国での記憶 ② | トロントのお散歩

トロントのお散歩

カナダ・トロント在住、キリスト教会の牧師が、普段のトロントでの生活や、考えていることを書き綴ります。

ある朝、私は長男を近くの韓国のミッション系の幼稚園に連れて行こうとしていた。

 

 

ソウル市カンナム区に住んでいた頃だったが、その周辺にはお金持ちや芸能人が多く住んでいた。

 

 

 

 

私は教会が用意してくれた小さなアパートに住んでいた。

 

 

幼稚園の前に近づくと、その反対側にあったマンションの前にパトカーが数台停まっていた。

 

 

何だろうと思いながら、長男を幼稚園に預け、職場に行った時、情報通の同僚の日本語教師からその理由を教えてもらって驚いた。

 

 

「〇〇ソナタ」というドラマに出ていた俳優が、父親の世話を苦に悲嘆して自殺したというのだ。

 

 

 

 

私が驚いたのは、ちょうどその頃、そのドラマに出ていたある有名俳優のマネージャーが私の日本語聖書研究クラスに出席していたからだ。

 

 

その俳優とは、当時誰もが知っていた韓流ブームを日本にもたらした男優である。

 

 

このマネージャーは聖書研究がある度に、自分の悩みを言葉を選びながら、ポツリポツリと日本語で語ってくれた。

 

 

それは深刻な職場での人間関係の問題であり、今の日本であれば文春砲とやらで一発アウトだ。

 

 

誰かに話したかったのだろう。同じ韓国人であれば大きな問題になるが、日本人で牧師ならと語ってくれたのだと思う。

 

 

彼はしばらくして、大阪で予定されている俳優さんのファンミーティングというかコンサートの最前列のチケットを2枚、私に手渡そうとした。

 

 

「日本にいる先生のご両親にお渡しください」と。

 

 

私はその当時まだ若くて真面目(?)であったので、感謝の言葉と共に丁寧にその申し出をお断りした。

 

 

今であれば受け取って良かったかもと思うが、プレミアムチケットで普通では手に入らないものを牧師がタダでもらうことに抵抗があった。

 

 

あとになって、韓流ドラマの熱烈なファンである母親から文句が来たことは言うまでもない。

 

 

このマネージャーが語る悩み、またその俳優の実生活を聞くに至り、彼らが実に孤独であることが伺い知れた。

 

 

芸能界は華やかであるが、どこまで行っても偽りであり虚飾の世界だ。仮面の下は悲しみと苦しみに溢れている。

 

 

 

 

知り合いの女性教師が個人授業で、これまた有名な女優さんに日本語を教えていた。

 

 

彼女は、その女優さんの家で日本語を教えていたが、この女優さんの日常生活も精神的に問題を抱えていることが明らかな状態だった。普通なら心療内科に直行である。

 

 

現代の日本では、同時と比べてもっと多くの人々が韓国に憧れを抱いているかもしれない。

 

 

しかし、私が会った韓国の芸能人たちや、その関係者の人々は、表面では明るく笑顔であっても、裏では必死にもがいていた。

 

 

アイドルとは「偶像」という意味である。人々の偶像となっていた人々は皆、心の底から「助けて欲しい、本当の自分を知って欲しい」と叫んでいた。

 

 

あなたは、自分の心に重荷を抱えていないだろうか。それは芸能人であろうと一般人であろうと何ら変わることはない。

 

 

 

 

あなたが信頼できる誰かに相談し、信頼できる存在に心を開くことはとても大切なことである。

 

 

あなたがそんな相手を見つけることができることを心から願う。

 

 

 

 

それではまた次のお散歩の時に。

Until our paths cross again!