石巻駅前からマンガロードを辿って行けば、自ずと石ノ森萬画館に至る…のではありますが、漫画目当てで石巻まで赴いたのではないものですから、続きはちと先へ送るといたしまして、本来の目的地を目指すことに。マンガロードの半ば過ぎくらいにある立町通りのバス停からバス移動に取り掛かります。ホテル最寄りのバス停だったわけですが、すぐそばにサイボーグ004が立っていたあたりになります。
そもそもの目的地はサン・ファン・バウティスタパークでして、園内には宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)があるのですなあ。ちなみに同館HPの交通案内では「「JR石巻駅」からJR石巻線女川行き 乗車 約10分「JR渡波駅」下車後、徒歩約25分またはタクシー約5分」というのが、公共交通機関利用によるアクセス方法と。当初は、駅から25分の歩き(疲れたら戻りはタクシーかなとも)を想定したですが、石巻駅から(立町通りを経由して)歩程半ばほどにある汐見台公園入口という停留所までバス路線(鮎川港行き)があることを発見したという。非常に運行本数が少ないのですけれどね。
ともあれ、往路はこのバスを利用したわけですが、汐見台公園入口のバス停で下車し、少し戻ると万石橋という橋が架かる、石巻湾に通ずる水路に行き当たりますので、この水路に沿って行けば、10分ちょっとで到着だなと思っていたわけです。海沿いにある施設なので、ひたすら水辺を行けば良いと思い込んでいたのですな。
最初のうちは、バス利用で徒歩時間が半分くらいになるのを発見した自己満足に浸って意気揚々、あたりをきょろきょろする余裕もあったわけで。ですので、沿道に石碑などを見かけますと、「どれどれ…」と近づいてみたりも。
どうやら牡鹿半島の突先からちょいと離れて浮かぶ金華山(島自体が神域らしく、一般住民はいないという)への参詣道にあたっていたようで、小さい祠のような方が参詣者向けの常夜燈であったようですな。ですが、この常夜燈の唐突な置かれようからも想像されるところですけれど、後ろは湾口とつながる水路なのですから、2011年3月11日には間違いなくここを大津波が遡っていったのでしょう。根こそぎされたようすが容易に想像できてしまいます。
少し進みますと、水路側には多くの船が係留され、陸側には水産加工会社の施設らしき建物が並ぶようになってきますが、おそらくひと頃まで、会社の窓から船はすぐそこに見えている状態でしたろうに、今では水路に沿って造られた防潮堤で視界が遮られておりましたよ。
差し当たり開口部がありますけれど、一朝、津波警報発令となれば自動的に閉まるのでしょう。高さがさほどでもないように思えますが、これは正面から来る津波をまともに受け止める堤ではなくして、水路を遡上する際、側面に起こり得るオーバーフロー対策でもあろうかと。ともあれ、景観が一変したことは間違いありあせんですね。
と、そんなことをつらつら考えながらひたすらに、水路沿いを辿っていったところ、「ん?行き止まり?」と。どうやら水産加工会社の専用通路に紛れ込んでしまったようなのですね。一旦は途中の分岐まで戻って、別方向を辿ろうとするも、そっちの方向はひたすらに登り坂になっており、「はて?」と立ち止まる。ここに至るまでひと気が無かったところながら、幸いにも近くの住宅に車から降りて来る方がおり、「サンファンパークはいずこ?」と問うてみますと、「そりゃ、もっと上、上!」という答えが返ってきたのですな。てっきり海沿いとばかり思い込んでいたことが失敗の元だったようです。
ある程度の歩きは織り込み済みながら、それが登り坂であるとは些かも予想しておらず、もはや無言でひたすらに登ることしばし。「こんな高台にあるのかいね?」と思った頃にようやっと、入口に到達することができましたですよ。
途中のうろうろが祟って、結果的にはHPの交通案内にあった徒歩時間とほぼ同じくらい掛かってしまいましたですが、スマホを持たない者がうろ覚えで臨むとかようなことも出来するわけですね。遠き道のりとなったのは、結果的に人災であったいうべきかもしれません(苦笑)。それにしてもかような山の上であったとは…。