さてと、石巻の町なかを歩き廻る前の日、早めにホテルに到着して、さぞかし晩飯は石巻の旨いものを食して…と思われるかもしれませんですが、さにあらずだったのですなあ。
何せ、旅立ちの数日前から胃の具合が絶不調に陥っており(消化不良とでも申しますか)、そもそもおなかが空いた気にならない。それでも少なめ少なめの食事を続けて準備に余念なく?迎えた旅の初日、仙台での昼飯はなんとなく「牛たん」だろうなあと考えていたりもしましたが…。
ですので、島川美術館への道すがらにある牛たん専門店を目指して行ったわけです。同様の専門店は駅周辺にも多々ありますが、おそらくは混んでいようから少し町なかに入り込んでと考えたものの、仙台の名物に賭ける観光客の思いの強さは相当なものらしく、目指した店の前には行列が。元より、何につけ行列を厭う者としては即座に断念し、かようなアーケード街で物色することに。間違いなく何かしらの食事処があろうてなもので。
で、これをずいずいと結構進んだ先(その方が美術館に近いものでして)で見つけた居酒屋ランチを食することにいたしました。海鮮系が入っているのは、この後海に近い方に向かうに際しては「ここで食してしまうかぁ」てなところもありましたけれどね。
こらまたずいぶんと貧相な海鮮丼?と思うことなかれ。一応、お店の名誉(?)のために申し上げますと、ご飯大盛り無料という選択肢もある中で、ここでは敢えて小盛りを頼んだ結果ですのでねえ。要するに胃の具合を勘案し、これから先にしり上がりの調子にもっていくには取り敢えずこのくらいにして、という算段でありますよ。
とまあ、胃の調子を量りつつではありますが、その後に「晩飯をどうしたものか?」と考えた時、無理は禁物ということと「牛たん、食しておらんな」ということと、その二点が頭に浮かんだ結果として、石巻への移動にあたり仙台駅で駅弁を買って行こうと考えた次第。駅弁はさほどの量ではありませんし、もちろん「牛たん弁当」の類いもあろうと思いまして。
7月に山形へ出かけた折には新幹線車中で「牛肉どまん中」なる駅弁を食したことが記憶に遠からず残っていただけに、仙台行きでも初日の昼は「駅弁か?」とも。奇しくも今回乗った新幹線は、山形へ出かけたときと同じ列車(ただし、山形方面行きは福島駅で切り離し)だったのですよねえ。ですが福島を出た後、仙台の方が早く到着する(まあ、山形方面は新幹線とはいえ、在来線利用のミニ新幹線状態ですものね)ので、こりゃあ、昼飯は町なかでと思い直していた次第です。
とはいえ、予め「はて、仙台の駅弁は?」などと下調べもして、たまたま(?)買ってあった『旅行読売』2023年12月号の駅弁特集で「名物駅弁・網焼き牛たん弁当は、仙台の牛たん人気の火付け役」と紹介されていたことから、「やっぱり、仙台では牛たんであるか」と刻み込まれていたわけなのでありますよ。
てな経緯がちと長くなりましたが、仙台町なかで食するのを断念した代わりに石巻へ移動する途次、仙台駅構内で晩飯用に駅弁を調達して仙石東北ラインに乗り込んだという次第。早い話が、石巻(海産物が目玉でありましょうに)での晩飯はこちらをいただくことになったわけです。
「あらら、旅行誌おススメの「網焼き牛たん弁当」ではないの?」ともなりましょうけれど、一口に牛たん弁当といっても数種に及ぶ中、ボリュームの点(なせに胃の調子が思わしくないので…)が気になりながらも、どうせなら味のバリエーションを求めてしまった結果が、この「牛たん味くらべ弁当」でして。
「牛たん焼きの定番<塩>と甘辛い<味噌焼き>、そして牛たんの<つくね照焼き>、甘しょっぱく煮込んだそぼろ煮>。牛たんの美味しさを四種の味くらべで余すことなく楽しんで頂けるお弁当に仕上げました。
発売元HPに曰く少しずつでもいろいろな味わいを楽しめるとは、状況的に打って付けであったのでありますよ。
本来的にはお店でもって焼き立てのあったかいのを食してこそとは思いますが、この場合、駅弁で肝心な「冷めてもうまい」を気にかけても十二分に満足できるものでありましたなあ。むしろこれを食すことで、お店で焼き立ての一品を渇望することにもなりましたですが(笑)。
…ということで、駅弁の話でこれほど引っ張るつもりはなかったのですが、石巻町なか歩きに至る手前の箸休めとして、どうぞご容赦のほどを。