石清水八幡宮のある男山からの下山に際して、参道ケーブルの山上駅があまりにひっそり閑していたたまれず、取り敢えず乗ってみるかと思ったお話の続きでありますよ。がら~んとした空気感にはいたたまれなくなった気持ちも伝わろうかと思うところです。

 

 

しかしながら不思議なことに?うらぶれた雰囲気はまるでないのですなあ。灯りが煌々と明るく照らしておりますし、清掃も行き届いてるようで(つまりうらぶれた雰囲気らしい特徴としては、薄暗く場所柄からして落ち葉などが吹き黙っているとか)。

 

さらに改札前の掲示を見ますと、「令和元年という節目に、デザインをリニューアルした」という車両が投入されたとなりますと、「こりゃあ京阪、やる気だな!」といった湧いてくるのですなあ。

 

 

ただ、令和元年とは2019年になりますので、要するにコロナ前の設備投資でもあろうかと。ほどなく迎えたコロナ禍で新型車両は出鼻を挫かれたのではなかろうと。とまれ、改札を抜けて奥へ進めば、1号車の「あかね」(ちなみに対になる2号車は「こがね」と)が厳かに発車の時を待っているのでありました…が、もちろん(失礼!)誰も乗っておりませなんだ。

 

 

まだ投入後5年ほどだからなのか、乗客数が少なくて新しさが保たれているのか、車内もぴっかぴかですな。なんとはなしですが、神社とのコラボ感を醸しているような気がしたものです。

 

 

他に誰もいないのをいいことにひととおり車内を見て回りますと、通常は窓上広告でも入ろうかというところに(昔と違って電車の車内広告はなかなか埋まらないから?)車内インテリアに関するこんな紹介がありましたですよ。

石清水八幡宮参道ケーブルの内装デザインは、外装デザイン同様、朱(赤)と金(黄)の色相をモチーフとし、扉と座席の色を左右で切り替えています。扉の柄には石清水八幡宮の阿吽の鳩と男山の青竹をイメージしたオリジナルの紋、座席表地には外装で使用した霞文様を配し、外装・内装で一貫性のある世界観を表現しています。

やっぱりねえ…などと思っておりますと、日中は15分間隔で運行している発車時刻が到来。その直前になって、何組かの乗客がわらわらとやってきて、辛うじて貸切乗車状態ではなくなりました。ほっ。

 

 

出発当初のトンネルをほどなく抜けますと橋梁部に差し掛かりますが、この男山橋梁、「高さは43メートル。全国の鋼索鉄道で最も高い橋梁となっています」とはこれまた車内の紹介から。地味に?日本一の記録を持つ石清水八幡宮参道ケーブルであるようで。

 

 

でもって、これまたほどなくケーブルカーに付き物のすれ違いポイントが見えてきましたですよ。ここで、乗車した1号車「あかね」は登りくる2号車「こがね」とすれ違うわけですな。

 

 

改めてケーブルカーの仕組みとしては、またまた車内の紹介に曰くこのように。

鋼鉄製ワイヤをより合わせた鋼索線専用の強固なケーブルの両端を車両につなぎ、ケーブルを井戸のつるべのようにケーブル八幡宮山上駅の索輪で引っ張ります。原動力は交流モーターですが、ケーブルの両端の車両重量がほぼ同じでバランスが取れているので、省エネ運転が可能となっています。

登りと下りとで乗客数に極端な違いが出た場合はどうなる?てなことを想像したりもしましたが、中間地点で「こがね」とのすれ違いも終え、「あかね」はケーブル八幡宮口駅へと到着。次の乗客を静かに待つ「あかね」ですが、さてはてどれほどの乗客がやってくるでしょうか。改札あたりにちらほらと人は見かけましたですけどね。

 

 

八幡宮口駅の構内には「石清水八幡宮参道ケーブルのあゆみ」という歴史をたどる紹介がなされておりましたけれど、始まりは大正15年(1926年)、男山索道株式会社の敷設によると。戦争中に一旦廃止となるも。戦後の昭和30年(1955年)京阪が復活させて現在に至る。先にも触れました車両のリニューアルが行われた2019年、車両のみならず巻上装置も新しくしたようですから、京阪としては「絶対に元をとってやるけんね」という意気込みなのかもしれませんですねえ。

 

 

ということで、たった3分、されど3分の乗車賃は片道300円。この後の京阪の健闘を祈りつつ、ケーブルと経営の同じ京阪電車に乗って石清水八幡宮駅をあとにしたのでありました。