愛知県瀬戸市の名鉄尾張瀬戸駅にたどりついて、まずはホテルに荷物を預け、遅めの昼飯をということに。せと銀座商店街のアーケードを抜ける中で、「そういえば…」と思いついたのがご当地(B級)グルメに「瀬戸焼そば」というのがあったなと。アーケード内にも一点、扱っていそうなお店を見つけたのですが満席で、「こりゃ、結構な人気のあるものなのかも」と思ったのですなあ。結局のところ、ホテル到着目前となったときに見かけた幟旗に引き寄せられてしまいましたですよ。

 

ところは瀬戸の産土神とされる深川神社の目の前でして、いわば門前の茶店といった感じ。幸い(店にとってはあいにくでしょうけれど)お客は他におりませんでしたので、そそくさと入ることにいたしました。

 

 

もちろん注文したのは「瀬戸焼そば」。厨房のおじさんがワンオペでやってるお店ですが、実に手際よくささっと出されたこちらが瀬戸焼そばだそうで。

 

 

見た目には「要するにやきそばね!」というところながら、「瀬戸焼そばとはどういうものなのであるか?」と店のおじさんに尋ねてみれば、なるほど個性的と思われる特徴が示されましたなあ。まずもって、麺は蒸してあって、提供されるにあたっては焼くというより温めるために火をとおすような感じかと。また、ソースを絡めるのがやきそばの常ながら、ここではソース不使用で醤油ベースの味付けです。さらに、具材の豚肉は甘辛く煮込んだものがトッピングされているようなのですなあ。おじさん曰く「お客さんの中にはあっさりしすぎて物足りないという人も…」ということでしたが、確かにやきそばと言いつつもこれまでに食したことのない食感と味わいに「また食べたくなる人もいる」という方に賛成いたしたく。

 

 

余談ながら、焼そばを平らげますと器には(豚肉トッピングなだけに)ブタの顔が現れるのはご愛敬ですが、試しに裏を返してみれば「おお、瀬戸焼!」と。単に門前の茶屋だったりしますと、紙皿かプラトレイで出てきても不思議はないところですけれどね。

 

ところで、(10月のわりには暑い日だったのでと申し開きしつつ)ビールともども食していたので、も少し何かつまみたいなと気分。メニューを見上げて「?!」と思い、即決で注文したのが「たません」というものでありました。こちらです。

 

 

駄菓子屋で見かけるような大判のえびせんべいに薄い卵焼きをのせ、お好み焼きソースとマヨネーズを掛け、青のりをふったものと見受けました。基本線としてはこれ、皿盛りで出すようなものではなくして、真ん中からぱきっと半分に内折にしてテイクアウトというのがメジャーな食し方であるようで。おじさん曰く「こどものおやつですよ」と。お値段200円はなるほどです。でも、この「たません」なる食べ物、見るのも食べるのも初めてなのですけれど、世の中にどのくらい広まっているのでありましょう?瀬戸焼そばほどにご当地感を出してはいなかったですが…。

 

とまあ、他に客がいないのをよいことに?厨房のおじさんと話し込んでいたのですけれど、すぐ目の前を通る深川神社の参道商店街と思しきところの「謎」にもしっかりお答えを頂戴した次第。「なにが謎?」って、一番上に載せた写真を今一度見てもらいますと、幟旗の右上に「宮前地下街」の文字が見えましょう。燦燦と日が降り注いでいるところが「地下街」となれば、やはり謎ですよねえ。

 

おじさんの話は「昔は賑わったんですよ。参拝客がたくさん来てね。人でいっぱい。それがすっかり寂れてしまって…」というところから始まりました。名鉄尾張瀬戸駅から歩く道すがら、せと銀座商店街を抜けるときにも寂れ感の横溢を感じてはおりましたが、おじさんの曰く「瀬戸と言っても、みんな瀬戸内海しか思い浮かべてくれなくて。『瀬戸の花嫁』という歌もありますし」と、いったい何十年前の話?と思うところで、話を宮前地下街の方へ。

 

なんでも、たくさんの人で賑わった当時、門前商店街にやや覆いかぶさるように、上の部分に駐車場が設けられていたのだということで。こちらの写真だと店の上に広場がありそうなようすが分かりやすいかもですね。

 

 

店を出た後、商店街上のスペースに上がってみますと、今はただただ広場になっているだけ。おじさんが「昔は動物も飼っていて、子供さんに人気だった」と言っていたところも、ミニ動物園とは今は昔の話であって…。

 

 

とまあ、瀬戸に到着早々その寂れ感を思い知ることになったわけですが、この後はホテルに荷物を預けて街歩きに繰り出した次第。深川神社の目の前に来ていると申したですが、なにせこの日の宿泊先は深川神社の境内にあるのが自慢(?)のホテルでしたし。よもや手水舎のお隣にあろうとまでは思っておりませんでしたが…。ともあれ、チェックインです(注:下の写真は街歩き後の夕方戻ってきたときのようすです)。