遅ればせながら、謹んで2024年、新年のご挨拶を申し上げます。どうぞ本年もよしなに願えましたら幸いです。

 

一年前はコロナに臥せった状態で正月を過ごしておりましたですが、今年2024年はおだやかな年越しを迎えることができました。個人的には幸先良いとも思えるところながら、元旦から大地震、二日には航空機事故と続き、とても「おめでとう」とは言い難い、むしろ先が思いやられる一年の幕開けとなっているのやもしれません。取り敢えず元旦は初詣に出かけて(柄にもなく)「世界平和を!」などと心のうちでつぶやきつつ、手を合わせてきたのではありますが…。

 

世の中的には自粛ムードの横溢した東日本大震災後の状況を思い出したりもするところながら、淡々と粛々と日々を過ごしてまいろうかと。ま、あまりおちゃらけた気分にはとてもなりませんけれどね。

 

ということで、今年の初詣には少しばかり足を延ばして東京・あきる野市まで出かけてきたのでありますよ。真言宗豊山派金色山大悲願寺というお寺さんでして、楼門からして古刹感たっぷりの印象かと。

 

 

開山は建長二年(1191年)、鎌倉時代ですな(確かに鎌倉幕府の成立は、かつて日本史の授業で習った1192ではなくして、それより前倒しの諸説あるようで)。楼門自体、現在の建物は安政六年(1859年)のものということで、それでも十分に古いところながら、本堂の方は元禄八年(1695年)に建てられたのであると。

 

 

左側に立つ托鉢僧の像は、真言宗のお寺さんだけに弘法大師空海でありましょうか。境内を見渡したところお遍路路のような道標がありましたので、富士塚で富士登山の代わりができたように、境内を巡るとお遍路代わりの体験ができるということなのかもです。

 

 

こちらは観音堂でして、彩色豊かな彫刻で知られると。平成の大修復でかつての彩りを取り戻したとのこと。年代ものの木彫りだけでは判別つなかいような描写もはっきりと見てとることができましたですよ。正面の欄間部分には、向かって右手に地獄絵図、左手中央よりに三途の川と奪衣婆が描かれ、それより左側に極楽がという構図です。地理的には今一つ不案内ですが、この左手側が方角では西にあたるように思いますので、正しく西方浄土を表しているのかもしれませんですね。

 

てな具合に、初詣でもって東京・あきる野市の大悲願寺を訪ねたわけですが、今回の能登半島地震や羽田の事故を受けて、世界平和やらおだやかな毎日やらというのは要するに「悲願」にしかならないのであるかな…とも思ったり。ただ、その「悲願」でしかないかもしれないことをこちらのお寺さんはしっかりと受け止めてくれたような気にもなったものなのでありますよ。禍転じて福となすような一年となりますことを願うばかりです。