取り敢えず千葉県内陸部の方へとだけ言って出かけておりましたが、例によってちともったいぶっておりましたなあ。出かけた先は千葉県の佐倉市と印旛郡栄町で中間の成田市で一泊という具合でありましたよ。
それにしても今回は、ツキが無いといいますか、踏んだり蹴ったりと申しますか。その最大のものはカメラをぶっ壊してしまったことですかね。カメラがぶっ壊れた…ではないのはひとえに自らの不注意で手からこぼれ落ち、地面に直撃するという極めて物理的な破損でありますからなんたることか、なのですけれど。それ以外に細かなトラブルが続々とありましたけれど、いちいち挙げることはいたさぬように(苦笑)。
ただ、ついでにもうひとつだけ触れるとすれば、成田の晩飯のことでしょうか。成田市観光協会HPの紹介でも「成田の食の名物は、うなぎです」と真っ先に挙がっておりますので、うなぎと言えば夏バテ対策のように思われながらも実は冬が旬だということで、予めうなぎを食す心づもりになっておったのですなあ(冬が旬というのは天然うなぎのことで、養殖ものはまた別らしい)。
さりながら名店と言われるようなお店は敷居が高い(当然に値段も高い)と踏んで、多治見で食した時のように敢えて専門店でなくて「うな丼」を出してくれているような店にあたりを付けていたわけです。で、意気揚々と成田のお不動さんへと続く表参道に繰り出したところ、ここと思って出かけた店は夕刻までに店じまいしていたようで…。
ですが頭の中はうなぎ一色で、こりゃあ敷居の高いの店に向かうべきか…てなふうに思いつつ、うろうろしておりますと、どう見ても明らかにうなぎ店らしからぬ店先に「寿司屋のうなぎ丼 ボリューム満点」という貼り紙を発見。おそるおそるのれんを潜ってみれば、店内は100%寿司屋以外の何ものでもなかったですが、カウンター席に座るなり「寿司屋に入っておきながら申し訳ないですが、おもてに貼り紙のあったうなぎを…」と。
相手はちゃきちゃきの職人ですからどんな反応が返ってくるかと思えば、「気を使ってもらってすいません。うなぎ、やりますよ。ただし…」と言われて、待つことしばし、提供されたのはこちらでありますよ。
いやあ、この見た目で来ましたか!海鮮丼の上から鮮魚を取り払ってうなぎの蒲焼きがのっている。しかも、卵焼きときゅうりがふたつ添えてあり、その下には見えないですがガリまで添えてあるという寿司屋入魂のうなぎ丼だったのですなあ。そしてさらにさらに、先ほど「ただし…」と言われたその先に続いたのが、「寿司屋だけに酢飯ですけど」ということ。食してみれば、今まで一度として味わったことのないうなぎであったのでありますよ。これはこれで無いではないと思うもの、本当に本当のことを言えば、いわゆる普通のうな丼の方がやっぱり勝ちかなあとは。
もちろん店の名誉のために申しますれば、おいしくいただいたことは間違いないのですけれどね。ボリューム満点ではありましたし。とはいえ、やっぱり寿司屋は寿司屋であるのか、上の写真の左上に空になった小鉢が見えておりましょう。これは、ビールと一緒に出て来たお通しということで、にぎりのネタの端だったしたのか、いろいろ取り混ぜて出てきたのですけれど、むしろこのお通しの魚の旨かったことと言ったら無い。うな丼をたのんでしまう前であれば、即座にやっぱり寿司に方針転換という気になっていたろうと思えるほどに。ビールを終えて燗酒をもらうついでに「このお通しのおかわりなんて、できますかねえ」と。
てなことでお通しのおかわりを出してもらったりしているうちに、店内にはだんだんと異国の風情が増してきていたのですなあ。気付いてみれば、後ろのテーブル席にいたのは外国人観光客の4人組、カウンターのすぐ隣に座ったのがどうやらアメリカ(ニュージャージーとか言っていたような)から来たらしい女性二人連れ、さらに食し終えて帰ろうかと思う頃にのれんを潜って外国人グループがまたぞろ。皆もちろん(うなぎでなくして)寿司を食しに来たのでしょうけれど、外国人向けの口コミにでも上がっているのでしょうかね。カウンター内の職人さんにとってこのようすは珍しくもなんともないことのようで、いかにも場数を踏んで体得したと思しき英語まじりで客とのコミュニケーションをそつなくこなし、次々と注文をこなしておりました。インバウンド、インバウンドといつしか頻りに言われるようになっていますけれど、こういうことなのであるなあと改めて。
ではありますが、はたと冷静になって考えてみると、なんだってかくも成田の寿司屋に外国人観光客が入るのであるか。晩飯タイムですので、成田駅前近くのホテル(もしかすると空港ホテルからでばってきているかもですが)宿泊するのでありましょう。これを自らの旅行経験に照らす限りでは、海外に出向いて空港近くのホテルに泊まるというケースは早々たくさんはなかったですなあ。
深夜近くに到着して翌朝早々に乗り継ぐ予定であったクアラルンプール、やはり深夜に着いて翌朝パタヤに直行するつもりであったバンコク、そして飛行機がディレイして乗り継げなくなったシカゴでキャリアが用意してくれたエアポートホテルと、その3回くらいではなかったかと。つまり、多少の無理はあったも到着空港が目的都市の郊外なら、直接に市内へと入ってしまいましょうから、空港近隣の町のホテルに泊まることは無いわけで。こう言ってはなんですが、成田そのものに外国人観光客を引きとどめる何かがあろうとも想像がつかず…。
あるとすれば、せいぜいお不動さん、成田山新勝寺でしょうかね。個人的には、今回は駅から塔を遠望するばかりで近づいてはおりませんが(もっとも一度も行ったことがない…)。
ま、翌日出発の前泊で成田泊となる方々もおいでとは思いますが、カウンターのお隣に座っていた人たちは「これから日本でどこへ行く?」みたいな話を職人さんとしてましたから、来たばかりと考えるのが自然でしょうしねえ。謎は深まるばかりですが、日本に来る外国人観光客の方々が何を目的としているのかは、日本人の想定を遥かに上回るものがあるわけで、「Youは何しに…」なんつうTV番組があったりするのですものねえ。
てなことで、全くもって思いがけずも空港ではない成田の町中にたくさんの外国人観光客がいることに目を開かされたわけですが、個人的に今回経めぐって来たあたりは国際性とはおよそ無縁の場所がほとんどでして、この後にその辺を少しづつ振り返って行こうと思っておりますよ。