さてはて、JAXA相模原キャンパスを訪ねてようやっと、宇宙科学探査交流棟の展示見学のお話ということに。JAXAそのものは大きな組織ですので、国内各地にさまざまな拠点があるわけですが、相模原には「ロケット・人工衛星搭載機器の基礎開発・試験を行う先端宇宙科学実験棟などが設置されてい」(同機構HP)ることもあってか、衛星関係の展示が多数ありましたなあ。
まずは日本の宇宙探査の始まりとして、いちばん手前のガラスケースにあるのはやはり「ペンシルロケット」ですなあ。模造されたものでもって形状や大きさは知っていたものの、さすがにここに展示されているのは、1955年に糸川博士が実験に用いたうちのひとつであるとか。
先端部分や尾翼の部分、確かに使用感がありますよね。実物なのですなあ。で、そんな打ち上げ技術の研究とともに、打ち上げる衛星に搭載する機能は実にさまざまで、小さなところへコンパクトにあれこれ詰め込むのは日本のお家芸でもありましょうか、左側壁面にはこれまでの衛星の模型が時代順に並んでいるのですな。
右端に見えている磁器圏観測衛星「じきけん」の打ち上げは1978年だったそうでして、これの左側に並ぶのは皆それより古いわけすが、この頃の衛星はどうも、押しなべてSFっぽい印象がありますですねえ。まあ、SF映画のイメージはかなり古くからありましょうから、衛星作りに影響を与えたところ無しとは言い切れないような…。
ともあれ、数々の衛星が打ち上げられる中、昨今でもっとも話題となったのが「はやぶさ2」の帰還でしょうなあ。ここまで来ますと、もはやSF映画の呪縛(?)を解かれて、実際の機能が最優先、つまりは形が多少不格好でも良しというわけで…と言いますのは、個人的印象ではありますが、下に突き出た一本足がどうも唐傘お化けのように見えてしまいまして。小惑星りゅうぐうへタッチダウンする際には、この一本足が効果を発揮したのでしょうけれど…。
ともあれ、2015年12月の打ち上げから2020年末の帰還まで、5年に及ぶミッションを終えて帰還した「はやぶさ2」が持ち帰ったサンプルは、小惑星りゅうぐうが「高温になっていない、炭素が含まれているという理由から、水や有機物の存在が期待されてい」るのであるとか。
「太陽系でどのように生命が材料や水が存在し、移動したかを明らかに」する研究が、この後続けられるということでして、そのあたり、折に触れてEテレ『サイエンスzero』で取り上げられたりしておりますですね。
もちろん、これ以外にも太陽観測衛星「ひので」とか、惑星分光観測衛星「ひさき」とか、ジオスペース探査衛星「あらせ」とか、数々の衛星がそれぞれの持ち分の調査データを拾っているわけですが(それぞれがどんな研究に役立つのかは、文系頭では俄かにつかまえきれませんが…)、新たな探査機としては、はやぶさで培ったサンプルリターンの技術を活かして、火星の衛星フォボスの観測とサンプル採取が想定されているようで。
もはや、オーソン・ウェルズのラジオ放送に「すわ!火星人襲来か?!」といった大騒ぎが起こる時代ではなくなっておりますが、それでもすぐお隣の火星の探査もまだまだこれから。将来的に火星そのものの探査にあたっては、こんな「火星飛行機」を飛ばしてしまおうと考えられているようですな。
まあ、こういう夢のある計画が「科学の子」を育んで、将来の科学技術研究に携わっていくのかもしれませんなあ…と思うも、たまたまにもせよ、平日の昼間だけに見学している人のほとんどは高齢者でしたですが…。国家予算、つまりは税金を使ってどのようなことが行われているのかを広く示す、そのことは悪いことではありませんですね。もっと他のことでも透明性を高めてもらいたいものだというのは、余談として。
時代は(お金を積めば、ですが)民間人でも宇宙空間に行ってこられるようにもなってきていて、宇宙への夢はますます高まっていくのでもありましょうかね。TV番組を通じて紹介される研究成果などに興味が無いではないものの、個人的には空気の無いところに行きたいとは思わないので、その程度のものではありますけれど(笑)。