実は山梨・小淵沢のアパートにしばし滞在しておりまして…と言って、滞りもなしに日々の更新に勤しんでおりますからには、まあ、どこにいようと関係がないわけで敢えて断ることもありませんですねえ。ただ、「岡谷のうなぎを食して云々」なんつうふうに書き出しますと、些か唐突感ありとして申し開きに及んだ次第でありますよ(笑)。

 

ともあれ、山梨の小淵沢から信州岡谷は中央本線で1時間弱。多摩地域にある自宅から東京駅へ出るのとさほど代わりは無い(もちろん電車の本数には圧倒的な違いがありますが)わけでして、ちと足を延ばしてみたのですな。予て「うなぎを食すならば岡谷」てなことを聞き及んでもいましたので、これをひとつの目的として出かけていったという。世に「うなぎと言えば…」という土地は浜松を始めとして多々あろうかと思うところながら、はて信州岡谷で?と思いつつ。

 

 

さはさりながら中央本線の岡谷駅で下車してみますと、駅構内にある観光案内のラックには「うなぎのまち岡谷」と堂々宣言しているリーフレットを発見。こりゃ、本気であったかと思うも、そも何故に岡谷でうなぎ?とも。この疑問に対して、岡谷市観光情報サイト「旅たびおかや」ではこんなふうに説明しておりましたですよ。

岡谷市は諏訪湖畔に位置し、天竜川の始点を有するまちです。諏訪湖や天竜川では昭和初期までうなぎが取れ年間約38トンもの漁獲量がありました。古くから市民にうなぎが食され、消費量も全国トップクラスで、うなぎ屋や川魚のお店が数多くあります。うなぎ料理に関しての先人の研究、努力と、その伝統を受け継ぐ現在のうなぎ取扱店の研鑚によって、こだわりのある岡谷独自の味と料理を創り出しています。また、岡谷市では冠婚葬祭や保育園・小学校・中学校の給食にもうなぎが食べられています。

とまあ、「そうであるか」と思ったところで早速に、うな重を食しにまいることに。先のリーフレットには数々のお店の紹介もされておりますが、今回は単純に駅近の店を狙い撃ちで出かけてみたのでありました。こちらのお店です。

 

情報サイトの説明には地元でも消費量が多いことが記されていますけれど、そうしたことの証しにもなりましょうか、こちらのお店ではテイクアウトにも力を入れておられるようす。お店の前には蒲焼やうなぎ弁当などの「お持ち帰りメニュー」が張り出され、しかもこれが「うなぎ蒲焼真空パック」まで含む自動販売機になっていたりもする。なんとも「気軽にうなぎ」ではありませんか。

 

 

この気軽さを生み出す一因(庶民としては大きな一因)として、とにもかくにも値段が安いことが挙げられようかと。東京の老舗や有名店にはそれなりの伝統なりがあるとしても、間違いなくうなぎは気軽に食べられるものはないですものね。それが、こちらのお店ではうな重(並)で2,500円。元よりがっつり食する方ではありませんので、二切れ乗っている並で十分だもので。

 

 

ちなみに先月初めでしたか、弟の誕生日に事寄せて、東京近辺では有名なうなぎ処である浦和でうなぎをごちそうしたのですけれど、その際も特上ではさすがに持て余すと頼んだ上うな重で4,200円、こちらでは3,100円ということで。とまあ、値段の点にばかりフォーカスしてしまっておるものの、岡谷のうなぎを食してみれば、むむ、食べ慣れた蒲焼とは食感が異なるではないか!と。皮の部分はもとより身の表面も実にぱりっとした感じだったのですなあ。このあたり、先にも引いた「旅たびおかや」には「岡谷のうなぎの特徴」として、こんな説明があったのでありますよ。

岡谷のうなぎは「さばきは関東流の背開き」「焼きは蒸さずに炭火でじっくり焼く関西風」で、皮はパリパリ、中はふっくらで、甘くて濃いたれが特徴です。一度食べたら忘れない味!!岡谷市は、関東と関西の ちょうど中間に位置しているためこのような両方の特徴が出ています。

このぱりっとした(関東人にとって)新鮮な食感は、要するに「関西風」であったのですなあ。弓状に細長い日本にあって、地域地域の食にはなかなかにバリエーションが豊かなものがありますね。うなぎもそのひとつであったとは今さらながら。

 

折しも今年は早くから真夏のような暑さを感じる日があったりして、早速に暑さ負け対策のうなぎ…なんつうふうにも受け止めたところながら、すでにどこかしらで聞いた話として、そもそもうなぎの旬は冬場であるということなのですよねえ。

 

そこで、御神渡りで知られる諏訪湖のほとり、寒冷の地でもある岡谷にあっては「寒の土用丑の日」として、「冬にもうなぎを食べよう」と提唱しているそうな。全国区となるにはまだまだのように思いますが、「すわ湖太郎」なるキャラクターもいて頑張ってはいるようす。まあ、うなぎはいつ食してもおいしいとは思いますが、このほどおいしい思いをしただけに、がんばれ!すわ湖太郎!と少々肩入れしたくもなったものでありました。

 

と、うなぎは岡谷を訪ねたひとつの目的と言いましたですが、もうひとつの目的につきましてはこの次ということで。