またまたTVのお話とはなりますが、たまたまそう思っただけなのか、この2023年4月の番組改変期に昔懐かしい番組がいくつか見られるようになりましたですねえ。気付いたところを3つほど取り上げてみようかと思っておりますよ。

 

ひとつめは『Eテレタイムマシン』という番組でして、これ自体は新しく始まったものなのですけれど、そもコンセプトが「懐かしいあの番組がよみがえる!」であって、過去に放送された番組を掘り出してこようというもの。もっともメインは子ども向け番組のようですので、やがては『おかあさんといっしょ』なんかが登場してくるのであるとか。さりながら、そのトップバッターとして始まったのが『ハッチポッチステーション』なのでありました。

 

『Eテレタイムマシン』では、1996年4月に始まったという『ハッチポッチステーション』の第1回から第3回(各界10分)を一挙!放送。子ども向けなのに見ていたのですなあという番組に懐かしさが湧きおこってきたような次第。グッチ裕三にパペットのジャーニーとダイヤさんが絡んだコント仕立てで、時折エルビス・プレスリーを模した扮装でグッチが子ども向けの歌を熱唱するのが、実に印象的でありました。第1回の放送でも『アイアイ』を、♪ア~イアイ、アイアイ、おさぁるさぁんだよぉ~!と歌い上げていましたですが、いささかの感動さえ抱くものでありますよ。ま、子どもは子どもでこれを楽しく見ていたのでしょうなあ。

 

ところで、懐かしの映像はパペットのジャーニーが駅のエスカレータを上ってくるところから始まりますが、それを見てふっと、ジャーニーの声は笑福亭笑瓶であったかと頭に浮かんだところながら、いざしゃべり出してみると林家こぶ平(当時)だったとは…。そうであったかとすぐに記憶との結びつきは修復したものもの、忘れているというか、思い違いをしていることはままあるなのだなと。ダイヤさんの本名(?)がミス・ダイヤグラム(舞台が駅という設定ですのでね)だということもすっかり失念しておりましたよ。

 

さて、昔懐かしい番組のふたつめは、なぜNHKで?と思わずにはいられなかった『仮面ライダー』第1話「怪奇蜘蛛男」ですな。なぜ?といっても、しばらく前には『ウルトラマン』第1話もNHKで再放送されていたりしましたので、何かしら復刻を手がけるような、そういう流れがあるのかもしれませんですねえ。

 

でもって、個人的にはもっぱら『ウルトラマン』指向で、等身大ヒーローにはあまり目が向いていかなったもので『仮面ライダー』にはさして入れ込んだ口ではありませんが、さすがに初回はじめいくつかは見たという記憶がありますな。ですが、時を経て(初めての放送は1971年)、しかも大人になってこれを見てみますと、「そうだったっけ?」というところが山ほど。さらには、突っ込みどころもまた満載でありましたよ。

 

思いつくままに挙げてみますと、何よりショッカーの下っ端たちが素顔のままにベレー帽を被った存在であったこと。てっきり最初から覆面プロレスラーのような姿かたちというわけではなかったのですな。そして、やたらに「イー!イー!」と奇声を発するようなこともないという。むしろ、ショッカーには女性の下っ端もいたようで、こちらの方は実に怪しげ(妖しげ?)なレオタード姿でくねくねと登場する。『プレイガール』なんつうドラマもやってる時代感があって、そんなだったんだなあと思ったものでありますよ。

 

突っ込みどころという点では、ショッカーによって改造人間にされてしまった本郷猛(藤岡弘)ながら、完全に悪の手先にされてしまう前に脱出するわけですが、猛を見守る立花のおやっさん(小林昭二)に「こんなふうにされちゃいました」という経緯も何も一切告げる場面がないのに、本郷猛=仮面ライダーであることに何の疑問も問い合わせもなく、引き続き協力者となっているとは。番組後半では、猛の乗るバイクがスイッチひとつで仮面ライダーのバイクに早変わりしますけれど、このバイク改造には後にバイク屋を始めるおやっさん(初回では何と!スナックのあるじ)の手助けがあったろうとは想像に難くないところですしね。

 

ところで、仮面ライダーといえば「変身!」とポーズをとってジャンプするのがお決まりのように思いますが、初回段階ではひたすらバイクで速く走り、ライダーベルトに付いた風車にひたすら風力を得ることで、力が出るという設定でしたな。そも、仮面ライダーの場合、早田がウルトラマンになるような変身の形ではなくして、すでに改造されてしまった肉体がすでにあり、仮面ライダーらしい服装に着かえてマスク(ヘルメット)を被ることが変身の実体なのですよね。そうなると、変身!ジャンプ!と言った動きのいったいどこで衣装替えをしていたのかとは、気になるところではありませんか。

 

と、最後にもうひとつ。これは完全に単なる再放送ではありますけれど、テレ玉で始まった『俺たちの旅』、これも第1話を見てみたのでありました。おそらくは1975年の初回放送時にも見ていたとは思うのですけれど、のっけから、中村雅俊が歌う主題歌の背景に流れる映像を見ていて、「おお!ベルボトム・ジーンズ履いとる!」てなことに目が釘付けになってしまったり(笑)。

 

しかし、このオープニング・シークエンスもそうですが、かなりTVドラマらしからぬというか映画的なというか、映像の作りをしていたのですなあ。当時は全く意識していませんでしたけれど。大げさながら、少々画期的なことにも思えたものでありますよ。

 

話としては初回だけに、大学バスケ部の仲間である津村浩介(中村雅俊)と中谷隆夫(田中健)が浩介の先輩である熊沢伸六(津坂まさあき・当時)と出会うところが描かれて、この後の物語を紡ぐ三人組の誕生を見せるものでありましたが、中谷のあだ名がオメダであることはともかくとして、浩介が「カースケ」と呼ばれるのはすぐにカーっと頭に血が上るところから(確かに喧嘩っ早いところが何度も出てきましたな、まあ、昔々からの次郎長気質とでもいいますか)、また伸六を「グズ六」と呼ぶのはあだ名という以前に伸六・浩介ともども小学校で教えていた伸六の母親がそう呼んでいたから、てなことも紹介されておりましたよ。そうだったですかねえ。

 

しかしまあ、ひと言では曰く言い難い時代感が濃厚に横溢し、自分にとってはいわゆる青春の一場面はかくもあるかと見入っていたものでありますよ。それ以前に多くあった、青春といえばラグビー(時にサッカーだったり、剣道だったり)にひたすら打ち込む描かれようとは全くことなる若者像がそこにはあったわけでして。大人から見て決して褒められた日々の過ごしようとは言えないものの、無駄に若い、無駄に時間がたくさんある者たちの姿が描き出されていたように思うところです。もしかすると、この再放送はも少し続けて見ようかなとも。

 

ちなみに『俺たちの旅』では必ず物語の最後に短い詞章が記されるのも特徴のひとつでしたですね。初回の終わりには、こんな一文が。これまた時代感のある懐かしさも込めて、引いておくといたしましょう。

男は
みんな
心のどこかに
淋しさを抱いている