「こんな楽器があったのか?!」とずいぶん前に…、と書き出したところでブログ内検索をしますと2011年のこととは。もはや10年以上が経っておりますが、そのときにびっくらこいた大きさの楽器、コントラバス・リコーダーなるものの実物を目の当たりに、なおかつその音色に触れる機会がやってこようとは。
出かけていったのは東京(のはずれ)・清瀬にあるけやきおh-るで開催された「清瀬リコーダーフェスティバル vol.7」というイベントなのですな。開演前のがらんとした舞台上、上手側の奥にその巨大楽器はすっくと佇立していたわけで。ですが、かつての記憶とはちと異なって、ただでさえ長い長い胴体の足元部分にも折り返しが付いて一層堅固なバズーカ砲のようで、どうやらこれはコントラバス・リコーダーのさらに上を行く(つまりにはさらに低音を出す)サブ・コントラバス・リコーダーというものであると。ま、その音色が(地味に)響くのはプログラムの最終段階だったのですけれどね。
とまれ、今回聴いてきた「清瀬リコーダーフェスティバル」とやらですけれど、ご当地清瀬に関わりある(清瀬高校出身とか)リコーダー奏者が肝煎りとなって年1回の開催を続け、7回目になる(途中、コロナで中止された年もあり)そうな。すっかり定着してきているようでありますね。アマチュアのリコーダー・アンサンブル数組の演奏が続く第1部、プロ奏者の三重奏、四重奏による第2部、そしてこのフェスティバルがきっかけとなって誕生したという清瀬リコーダーオーケストラが演奏する第3部と、フェスティバル=お祭りという看板どおりの盛りだくさんプログラムでありましたよ。
しかし、世の中にアマチュアの音楽演奏団体はそれこそ山のようにあるのでしょうけれど、リコーダー・アンサンブルというのもたぁくさんあるようですねえ。リコーダーと言って思い出すのは、小学校の音楽教材であるソプラノ・リコーダーですけれど、そこから始まって長く長く続けている方々もおられるのでしょうかね。ただ、アマチュア団体の顔ぶれを見ると、現役小学生から後期高齢者に至るまで幅広いので、老後の楽しみで始めた方もおられようかと。なにしろリコーダーのとっつきやすさは、息を吹き込みさえすれば労せずして音が出るわけですし。
同じく息を吹き込んで音を出す木管楽器でも、例えばクラリネットやオーボエ、日本の尺八なども練習してそれらしい音が出るようになるまで容易ではありませんので、それに比べれば確かに音は出しやすいリコーダーながら、アマチュアからプロへと演奏が移りますと、やはり音が違うのであるなあと改めて。顕著なのは高音でありまして、とかく鋭く息を吹き込むことで無理やり出している感があったりしますが、プロ奏者はこれを実に軽やかに奏する。それこそリコーダーの真骨頂であって、これを聴かないうちはリコーダー演奏=学芸会の域をなかなかに出ないような(いささか失礼な物言いではありますが…)。
ちなみに、最後のリコーダーオーケストラに登場したサブ・コントラバスリコーダーですが、高音域とはまた別に超低音域はしっかり安定した音を出すのが難しいのでしょうねえ、音大卒のセミプロ?の方が担当していたような。あれだけの低音域でソロをやれとはとても言えたものではありませんですが、もそっと単体の音を聴いてみたかったなあと。縁の下の力持ちとして、大事な役割を担っておいでしたですけれどね。
と、さまざまな音域のリコーダーを取り混ぜた演奏も含めて、いろいろな曲を聴いてきたわけですけれど、個人的には少人数のアンサンブルの方が楽器の音色というか、個性と合っているような気がして、今はリコーダー奏者ミカラ・ペトリのCDを聴きながら反芻しておる次第でありますよ。
そういえば、ミカラ・ペトリは女性奏者ながらどうもリコーダー奏者に女性が少ない気がするのは音楽業界の御多分に漏れずというところでしょうか。清瀬のステージでは圧倒的に女性が多くて、男性はほんの数えるほどでしたけれど。アマチュアの裾野とプロの世界はまた(良きにつけ悪しきに付け)違いがあるのでしょうなあ。