さてと、静岡から帰ってまいりました。「全国旅行支援」なる制度が現在指向中で、故あってこれの恩恵が全く無い者にとっては「早く終わらんかな。支援当て込みでホテル代が高くていけん…」などと手前勝手なことを思っておるわけですが、なんとこれが来年も継続されるとは?!
当初の声高な「外出自粛」に比べればずいぶんと世の中のようすは様変わりしておりますけれど、まだまだ海外に出向くには難しい(ひとえに個人的事情の反映でもありますが)だけに、国内をぶらぶらしているような次第。メールには、以前Web経由でチケットを買ったからでしょう、ヘルシンキの音楽祭やらドイツのシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭(ハンブルク近辺の町が会場になります)やらの案内が時折舞い込んでくるものですから、「行きてえなあ」という思いは募るばかりで…。
と、ひとしきり愚痴をこぼしてしまいましたが、「全国旅行支援」も世の中的には歓迎されているようですのであまりとやかく言うことなしに、とるものもとりあえず静岡のお話ということで。
たかだか狭い日本の国内…とも思うところながら、毎度毎度どこかしらへ出向くたびに「所変われば」の印象がありますですね。先に大阪・高槻に出かけた折も、阪神「電車」とか阪急「電車」という言い方が新鮮(?)に響いたものでして、またまた電車の話でなんですが、熱海を分岐点としてJR東日本からJR東海に列車の運行会社が変わるところにも、「所変われば」的なるものが。
ちなみに今回は自宅からひたすらに在来線利用(JR南武線→小田急線→JR東海道線)で行ったものですから、同じ東海道線でも熱海で乗り継ぐと列車も乗務員も別の会社になるのですな。で、何が違うって社内アナウンスが違うのでありますよ。JR東日本管内では(よほどのローカル線は分かりませんけれど)ほぼほぼ車内アナウンスは自動音声になっておりますな。車掌の生声が聞こえてくるのは特別な伝達事項(「駆け込み乗車は危険ですから…」とか、乗り継ぎ列車の案内とか)に限られておるわけです。
さりながら、JR東海管内に入った途端に全ては車掌の生声に変わるという。そして、次の駅が近づいてきたことを告げるアナウンスの最後に必ず「扉から手を離してお待ちください」と入るのですなあ。毎回です。JR東海管内ではドアが開く際、手や荷物が戸袋に引き込まれてしまうような事故がよほど多いのでしょうかね。静岡へ出かけるのは8年ぶりくらいになりまして、その時にもこのアナウンスには気付きましたので、おそらくはずぅ~と続けられているひと言なのでしょう。
ところで、JR東海管内では(あくまでJR東日本管内に比べてですが)列車の連結・切り離しがとても多いように思いますですね。帰途の話ながら、静岡駅で熱海行の列車を待っておりますと、一本前に到着した興津止まりの6両編成の後方3両が目の前に切り離されておりました。また、乗り込むべき熱海行の列車は3両編成で到着し、あと3駅で終着の熱海に到着となる沼津に至って、3両が増結されることに。
いくら何でも沼津、三島、函南の区間だけで車両を倍増せねばならんほどに乗車はしてこないだろうと怪訝に思ったところながら、これは熱海から静岡方面へ折り返す際、始発として6両で運行するための周到な(?)準備なのでもあろうかと気付いたり。折しも土曜の午後に熱海から静岡方面に向かう乗客数の想定は6両編成がしかるべしといった分析の結果でしょうかね。JR東海では東海道線の長い運行区間のそこここを区切って、乗客数の分析結果を車掌の連結・切り離しに反映しているのでしょうか。そんなことを考えたものでありますよ。
ともあれ、そんなこんなでたどり着いた静岡駅。静岡といって思い浮かぶものはあれこれありますけれど、一部の方々にとっては聖地のようなところでもあるようで。曰く「模型の世界首都・静岡」と。
上の画像ではちと文字を読み取りにくいでしょうから、こちらではどうですかね。このプラモデルを模した看板もすぐお隣にあります(元来、静岡の市街地への出口は北口になりましょうけれど、これらの看板は南口にありますので果たしてどれほど気付く人がおりましょうか…)。
静岡が模型の町であることは、かつてこの静岡駅南口の駅前ビルの中にある「静岡ホビースクエア」を覗いた折にに触れましたのでともかくとして、目立ちにく側である静岡駅南口(ちなみに北口には徳川家康の像があります)に、二体の裸婦の彫像があるのでありますよ。
駅前に何かしら彫像が置かれてあること自体は珍しくありませんですが、実はこれ、ルノワールの作品だとなりますと、少々有難みが異なってくるような。なにせ、オルセーに展示されている像と同じ鋳型から鋳造された14体のうちのひとつとかいうことですし。静岡市HPにはこんな説明が出ておりまして。
ルノワール晩年の20年あまりは、リウマチ性関節炎を患い、痛みに耐えながら制作を続けていました。印象派画家として有名なルノワールですが、70歳を前にして彫刻制作に本格的に取り組み始めます。
手が不自由なルノワールは、若手彫刻家リシャール・ギノの力を借り、細い棒でギノへ指示を出すスタイルで共同制作を続け、亡くなる前年までに約15点の彫刻作品を残しました。
それぞれタイトルは「勝利のヴィーナス」、「洗濯する女」となっておりますけれど、いずれ劣らぬルノワール体形の裸婦像であることからすると、タイトルを参照しない限り、片方がヴィーナスで片方が洗濯女とは思い至らぬところであろうかとも。
とまあ、そんなこんなでたどり着いた静岡駅から始めて、あちらこちらをぶらぶらしたお話になってまいります。が、奇しくも直近のNHK『ブラタモリ』では静岡を訪ねたようで(録画をまだ見てはいませんが)、かぶるような話になってもなんですので、駿府城に立ち寄ったあたりはちと後回しにいたしましょうかね。しかし、NHKも大河ドラマの前宣伝とは「見え見え」に過ぎますなあ(笑)。




