桜と人に溢れた城址公園の丘から下り、高遠の街中に戻ってきたところで、かなり遅くはなってしまったものの昼飯をと。あたりをきょろっとしたところ蕎麦屋がいくつか目につきましたので、「高遠そば、有名だしね」と訪ねたところがいずこも「本日のそば、終わりました」という無情な通告が店前に。なまじ手打ちで数に限りがあり、桜見物の人出ですので、かなり遅れた昼飯段階ではとうに手仕舞い状態だったのでありましょう。

 

ちなみに後から気付いた(気付かされた)のですけれど、「高遠そば」という名称は実のところ、福島・会津のものであって、本来的に信州高遠とは関係無いのだとか。その名前故に、高遠の地には逆輸入(?)されたということがWikipediaに紹介されておりましたなあ。

 

とまれ、蕎麦にありつけずあわや昼食難民、流浪の民か…というところへ、救いの神として現れたのが高遠駅(全く鉄道は走っておりませんが、昔からバスターミナルをこのように称しておりますな)のほぼほぼ目の前にあったこちらのお店でありましたよ。

 

 

「猫&石窯のカフェ すとれいきゃっつ」。いわゆる喫茶の軽食メニューもあるようでしたので、とりあえずこちらへ。ねこカフェらしき看板でしたので、扉を開けるとすぐさまねこくんたちがお出迎えか?と思えば、そうではないのですなあ。

 

なにしろ「ねこカフェ」とやらには入ったことがありませんので、どこも同じ仕様であるとは思いませんですが、こちらの場合はカフェ・スペースの奥に別室として「ねこルーム」が設けてあり、喫茶メニュー利用無しに「ねこルーム」で和むだけということもできるようですな(200円だったかな)。

 

ねこくんたちがカメラにびっくりする(のかどうかは知る由も無しですが)といけませんので、ただただ「ねこルーム」の入り口前からガラス越しに対面だけしてきましたけれど、くりくりの潤み目をむけてくる愛いやつがおりましたなあ(笑)。貼り紙に曰く、感染症対策は万全ながらどこかしらにウイルスが残っているやもしれず、ねこルームを出たら全身を消毒してくださいといった注意書きに臆して、ガラス越しの対面にとどめた次第でありましたよ。

 

とまれ主目的はランチでありまして、「猫&石窯のカフェ」というくらいですから厨房にはどんと石窯がある。となれば、オーダーはピザかなとなるところながら、高遠そばを食しそこねた気持ちを引きずっていたせいか、注文したのはスパゲティということに(単なるヌードルつながりというだけですけれどね)。

 

 

いかにもねこカフェらしい形でサーブされた一品は、塩辛とシメジのクリームソースの石窯焼きスパゲティ。なんだか高遠らしからぬ?珍しいものを食べてしまったなあという印象ですが、大変おいしくいただきました。

 

ところで、高遠らしからぬと言いましたですが、こちらの方は高遠らしいというべきでしょうか。商店街の通りから裏に入り込んだ川沿いのひと隅にあった巨大庚申塚でして。

 

 

地元では「二十二夜様」(略して「二夜様」とも?)と呼ばれているようですけれど、伊那谷を含めたこのあたりに伝わることとして、「伊那谷ねっと」なるサイトにはかような説明がありましたですよ。

この地域には、何か願い事があるときには、二十二夜様に祈願し、二十二夜の月が月蔵山(がつぞうざん)に上がるまで立ったまま待つ願掛けの風習があります。 この願掛けは一生に一度しかできないということです。

「毎年旧暦の7月22日に行われる願い事に対する月待ちの行事」であるとのことでして、こうした古来からの風習があること自体、高遠らしいというよりも都会には無くなってしまったものが残されておるのだなあと、都市住まいの根無し草感を抱いたりするところなのでありました。

 

このあたり、伊那市民俗資料館高遠なつかし館に立ち寄ればもそっと理解が進んだかもながら、歴史博物館に比べて混んでいるようでしたので、今回はパス。まあ、花見がメインといえばメインの高遠詣ででしたのでね。