確か昨年末、クリスマスのころに放送されたTV番組であったなあ…と思うわけですが、

こうしたうろ覚えをそのままにしておきにくいご時勢ではありますねえ。

なんとなれば、ネット検索で調べることができてしまうもので。

 

ま、そのことがいいことなのかどうなのかは微妙なところもありましょうけれど、それはともかくとして、

調べてみれば2021年12月24日、確かにクリスマス狙いの放送だと分かったのは

Eテレ『ドキュランドへようこそ』の「サンタの学校」という放送回でありましたよ。

 

少し後追い(つまりは録画)で見たときに思うところはあったものの、

折しも日本のお正月という時期にクリスマスでも、サンタでもなかろうと

頃合いを見ておったわけでして、2022年もはや平時のおちつき(コロナ騒ぎは別としてですが)を

取り戻しているでしょうから、そろそろ触れてもよかろうかと思い…。

 

ともあれ、どういう話であったかと言いますれば、

まさしく「正しい」(?)サンタ・クロースのあり方を伝授し、皆で切磋琢磨しようという「サンタの学校」が

アメリカはジョージア州にありまして、そこに集う自称サンタたちに迫る内容でありましたよ。

 

サンタ・クロースなど存在しないのだ。

子供たちもやがていつかはそのことに気付かされる時が来るのだ、とは言わずもがな。

されど、一時にもせよ、子供たちがサンタ・クロースに夢を抱いていることも事実ではありましょうなあ。

 

ここでのサンタたちはトナカイのそりに乗って地球を駆け巡るのではなくして、

それぞれに地元密着型、それぞれの地域にいるサンタさんなのですな。

そして、サンタといってお決まりのプレゼントを与えるということも、実は役割ではないわけでして。

 

クリスマスの時期になると、町のショッピング・モールなどに繰り出すサンタさん。

ともすると、かつて日本でも見かけた(今でもありますかね)サンタの扮装をした客引きかとも

見えるところながら、彼らを見かけて「あ!サンタさんだ!」と駆け寄ってくる子供たちに

ひととき寄り添い、子供たちの言葉に耳を傾け、時に声を掛けてやる。仕事と言えば、それくらい。

 

実利的にはプレゼントをくれるサンタさんの方がありがたかろうと思うわけで、

これは大人の発想なのかもしれませんし、子供たちの中にもそれだけの思いしかない場合もありましょう。

ですが、子供にとっては自分の話をひたすらに、しかも真剣に、さらに遮るでなく否定するでなく

聴いてくれる人がいるというのは、うれしいことなのではないでしょうか。

 

日々、日常の中で親は何くれとなく時間に追われ、

子供の長い話には「ええい、うるさい!」てなことにもなってしまう現実はありましょう。

それだけに傾聴者としての存在価値はあるようにも思えるところです。

 

しかも、これがいつもいる存在ではないのもポイントであるような。

1年のうち、クリスマスという一定の期間だけであるというのも、

子供にとって次への楽しみが弥増すことになるとともに、また会いたいがための心づもりが

成長に関わってくるようにも思えるわけでして。

 

近年はあまりアメリカのいい話(?)が聞こえてきませんですが、

このような形で子供たちと接する術を磨く、しかもそれが単なるカウンセラー的な傾聴にとどまらず、

サンタとしてのあるべき姿を模索し、そうありたいと自らも精進している人たちがいることを聴けば、

(国家としてどうかということはともかくも)独立以来の相互扶助精神が生き続けているのかもと

思ったりしたものでありますよ。

 

ところで、同じような何かしらの存在が果たして日本にあるかと考えますと、

(日本でも「サンタの学校」としてやっていってもいいのかもしれませんですが)

とりわけ季節行事の中でと考えますと、どうも思い浮かばない。

どうも伝統と近代化が否定しあうような関係で進んできた結果でもありましょうかねえ…。