さてと、寄り道まわり道をした結果たどりついた秩父での翌朝、目指すは三峰神社ということに。
お天気が芳しくなさそうな予報ではありましたが、取り敢えずは降っていないことを僥倖とせねばなりませんな。
それでも、結構な高所にある三峰神社への道は霧に取り巻かれることしばし、
ようやくたどり着いた駐車場から下の方には霧がというのか、雲がというのか、たっぷり溜まっておりましたよ。
されど、社殿への道は駐車場からまだまだ登りが続くのでありますなあ。
そして、ようやっとたどり着いた入り口がこちらになります。
「三ツ鳥居」という三連の鳥居はなかなかに珍しいものですなあ。
両脇に控えるのは狛犬ではなくして、狼なのですよね。山深い場所柄の故でもありましょうか。
ともあれ、鳥居脇に掲げられた「三峰神社御由緒」からその起源を引いておきましょうかね。
当社は一九〇〇年余の昔、日本武尊が東国の平安を祈り、伊弉諾尊・ 伊弉冉尊、二神をお祀りしたのが始まりです。尊の道案内をした山犬(狼)が、お使いの神です。三峰の名は神社の東南にそびえる雲取、白岩、妙法の三山が美しく連なることから、三峯宮と称されたことに因ります。
ということで、三ツ鳥居から参道をまっすぐに進んだ突き当りの高台上では、
この方が手を挙げてお出迎えしてくれているのですが、折悪しく雲が湧いてきてしまって…。
取り敢えず望遠を利かせてみますと、ようやくにして日本武尊らしき姿が浮かびあがるのでして、
かように雲か霞かに包まれた姿はいささか神秘的に感じる気分も起こってきましょうかね。
日本武尊像から右手側に少々登っていきますと、
三峰のうちのひとつ、妙法ケ岳の頂上(1329m)に置かれた奥宮を望む遥拝殿に到達…するも、
こちらもやはり雲に取り巻かれて、このありさまだったのでありますよ。
日本武尊像を前にして遥拝殿と反対側、左手側には、
拝殿へ向かう参道はこちらとばかりに立派な随身門が見えておりましたな。
こちらでもやはり、両脇に控えるのは狼です。
いったん下りで油断させておきながら、やっぱり拝殿までには登りが控えておりましたなあ。
もう一息で到着となります。ここへきて、きまぐれな霧は薄まってきたようでして。
石段を上り詰めますと、右には飾り灯台(安政四年建立)、左には手水舎(嘉永六年建立)が控え、
正面に拝殿となるわけですが、何やら作りが派手といいましょうか。
特に手水舎の(無駄に)絢爛豪華なあたり、拝殿のようすを想像させるに十分なわけですが、
拝殿自体、こんなようすでありましたよ。
神社HPの境内案内には「総漆塗りで、きらびやかな彩色と装飾が施されており、
殿内の格天井には三峯山の草花がいます。寛政十二年(1800年)建立」とあるだけですけれど、
どうしても思い浮かぶのは日光東照宮であるだけに、何か関わりが?と。
やはりHPの御由緒に曰く「天文二年(1533年)山主龍榮が京都の聖護院へ参じ、
「大権現」の称号をたまわって…」とあり、当時の神仏習合、修験道とのつながりを感じるわけですが、
「大権現」と言われた山主がいただけに権現造りであるかとも思ったり。
ただ、山深いところなだけに修験道との強い関わりこそ感じるところからすると、
もそっと質実剛健な印象こそふさわしいような気がしたものでありますよ。
ですので(全くの個人的印象ながら)巨大なご神木越しに、いささか霞に紛れつつ遠目に望む拝殿の方が
幽玄さを感じて、しっくりくるなったとは思ったものです。
御由緒関係ではも少し深いあたりを、三ツ鳥居のすぐ脇にある三峰山博物館で探究したいと考えたものの、
どうした加減か休館だったのですよねえ。そうそう来られる場所でもないだけに
いささか残念さを残すことにもなった天空のお社詣でなのでありました。