例えば親子の関係において、親の世代が浪費三昧の挙句、
「あとのことは子供がすべて面倒みてくれますから」と莫大な借金を残して、
「はい、さようなら」とは、まず普通はやらないことでありましょうね。
さりながら、これがもそっと大きな規模といいますか、マクロな観点からすると
とんでもないつけを子供たち、その先に世代に残してしまっている。
それ以上に、そのつけを日々大きなものにしてしまっている。
しかもそのような課題、問題がたくさんある…となっては、若い人たちも黙っていられない昨今なのでありましょう。
そんな迷惑な積み残しのひとつが「温暖化」の問題なのだろうなあと。
意識はしつつも、自ら何ができるのか。できたとしても、暖簾に腕押してなものでもあろうかと
思ってしまえば、結局のところ(いささかの申し訳なさを抱きつつも)何もしない。
生活はこれまでどおり、これからも同じように送ってしまったりもするところかと。
それでも、何かどうにかしなくてはいけんのだろうなあと思いつつ日々は過ぎていくわけですが、
折に触れて「やっぱりこのままではいけんなあ」と気付かせてもらうのは、全く無駄とは言えないでしょう。
録画で見ているので周回遅れも甚だしいですが、NHK「ドキュランドへようこそ」で取り上げられた
「薄氷のシベリア 温暖化への警告」は、なかなかに考え込んでしまう話でありましたなあ。
温暖化の結果として思い浮かぶのは、地球が暑くなるということ。
そのためも氷河が失われ、結果として海面が上昇し、南太平洋の島国は水没の危機にあるといったことは
よく知られるところなわけですが、(少し考えてみれば想像されるところではあったところながら)
何も融けてしまうのはスイスやグリーンランドの氷河ばかりではないのですよね。
ロシア、シベリアのツンドラ地帯に広がる永久凍土。
これが言葉通りであれば本来的には永久に凍ったまま融けることはないものと
思ってしまうわけですが、これが融け始めているのだということで。
氷に閉ざされていた大地が露わになることで、そこに埋まっていた動物の死骸などもむき出しになる。
相当な年数が経過しているであろうにも関わらず、その死骸からは過去に存在しつつも現在は知られていない、
未知のウイルスが潜んでいたりもするということで。
実際、シベリアの遊牧民の村では、地中から出て来たトナカイの死骸に潜んでいた炭疽菌が蔓延し、
村人にも飼っているトナカイにも感染しないように、立入禁止措置がとられたということです。
隔離した土地を1年後に訪ねても、相変わらず炭疽菌の芽胞がたくさん発見され、とても立入解除はできないと。
Wikipediaに曰く、芽胞は「極めて耐久性の高い細胞構造」なのだそうです。
それでもこの話は局地的な問題と捉えられるかもしれませんですが、
そもそも永久凍土の中には膨大な炭素が含まれていて、これは空気に触れるようになることで
二酸化炭素やメタンガスといった温室効果ガスを生み出してしまうことにもなるというのですなあ。
単に人間が化石燃料を使うなどして温室効果ガスが生じるというばかりではありませんで、
それによる気温上昇が永久凍土からさらに多くの温室効果ガスを出させてしまうというわけでして。
近年、シベリアのいくつかの場所では理由の分からない地表の盛り上がりが確認されたということでして、
実はこれ、先に触れたような理由によって溜まったメタンガスが表土を押し上げていたのだそうな。
それがついには噴出し、跡にはクレーターのような大穴が開いているということでありますよ。
温室効果ガスは、家畜の牛がげっぷすることでも増えるてなふうにも言われますが、
このシベリアの大地から放出されるメタンガスは、地球のげっぷとも言えましょうか。
桁違いの大きさであることでしょう。
今の生活を考えれば致し方なしと言っていいのかどうか。
地球の温暖化のこうした面に触れますと、そのままでことを先送りにしてはいられないはずなのですが、
「北海道の米がうまいのは、地球温暖化のおかげ」などという世迷言のような発言を
重鎮(?)の政治家から聴かされる国に住まっておりますと、途方にくれるばかりではあるものの、
ひとりひとり、しないよりはましなことを少しでもしていかねばなりませんなあ。