出会いがしら的に、山梨県北杜市のオオムラサキセンターに立ち寄ったわけですが、
そこでのお話をもう少々。もそっと蝶の話が続きます。
小さなスペースながらも、かような企画展が開催中であったものですから。
そも「モルフォチョウ」とは?ですけれど、展示解説にはこのようにありますですね。
オオムラサキと同じタテハチョウ科に分類されるチョウのなかま。中央~南アメリカに固有で、30種類ほどが知られています。
つまりは日本には生息していない…にも関わらずその名がつとに知られているのは
耀くような美しい翅の故でありましょうねえ。取り分け青い輝きにはぐっときます。
しかしまあこれほどに派手派手ですと、天敵からも発見されやすかろうと思うところながら、
森の中で木の葉先などに止まって翅を閉じると、翅の裏側は茶色や黒っぽい色で
目立たないようになっているもいるということでありますよ。
突如として翅を開いて敵を驚かせるという、猫だまし的手法をとることもあるようですけれど、
おそらくこの派手さ、結局はオスがメスを惹きつけるためのもののようですな。
上の写真のヘレナモルフォでも、左がオス、右がメスということでして。
ところで気になるのはこの発色ですけれど、例えばモンシロチョウを捕まえてみると、
翅の白い鱗粉が手についてしまい…という子供時代の記憶が蘇ったりするわけですが、
ヘレナモルフォのオスを捕まえると手が青くなることはなさそうです。
なんとなれば、ヘレナモルフォの翅は青いわけではないのであって…。
さりながら、これが青く見えるのは「構造色」というものらしい…とは、
ずいぶん前に国立科学博物館で開催された「ヒカリ展」で知ったところなのでありますよ。
今回の展示解説にも、このような図解パネルがありました。
やはり青く見えるマルクスモルフォの翅の部分を拡大してみますと、
ぎざぎざに並んだ微細構造が見てとれるそうなのですなあ。
これが、光の中の青の波長だけを強調するような「構造」になっているというのでありますよ。
だから「構造色」と。
ということで煌びやかな輝きがヒトをも惹きつけるモルフォチョウではありますが、
数ある仲間のうちには構造色を持たない、つまりは鱗粉の色のままに見えるチョウもいるそうな。
このタイヨウモルフォやシロモルフォ、光らないけれど「夕焼けのような」とか「雪のように」とか、
精一杯のきれい感を言葉に表そうとしているようではありますが、やっぱり少々残念な存在なのかも。
ま、ヒトからのそんな見られようは、当のタイヨウモルフォにもシロモルフォにも
「あっしにはかかわりのない」ことではありましょうなあ。