黒田記念館 を覗きに上野に行ったとなれば、

他にもあれこれ立ち寄ってみたくなるのも毎度のことでありまして。


取り敢えず国立科学博物館を目指して、

黒田記念館からずいずいとほぼ直線的に進んで行きましたら、
こんなところに銅像が建てられていたのだね…と初めて気付いたような次第。


野口英世像@上野公園


映画「チャップリンの独裁者」にでも出てきそうなポーズをとったチャップリン…かと思いきや、
野口英世博士の像でありました(もじゃもじゃ髪とひげも似ているような)。
なんとまあ、昭和26年(1951年)からずっと立っているそうでありますよ。


ところで、科学博物館に立ち寄るのは「ヒカリ」展なる特別展にいささかの興味があったもので。
覗いてみた結果をあれこれ記してまいろうかと思うわけですが、
書いているのは文系人間であることを予備知識としておいていただければと思うところでありますよ。


ヒカリ展@国立科学博物館


かつて科学者の間で「光は波であるのか、粒子であるのか」という点が多いに議論をされた…
ということは何となく知識としてはあるのでして、

今回の展示の中でもそうした科学史的な解説もありました。


激論の入り口は、オランダのホイヘンスが「光は波である」と言えば、
イギリスのニュートンが「光は粒子である」と言ったてなところかと。


これをトマス・ヤングという学者が

波の相互干渉作用と似たことが光でもあることを実験で明らかにし、
光の波動説がぐぐっとクローズアップしてきますけれど、
光が波であるとそれをその波動を媒介する何かしらがあるはずということで、
「エーテル」なる未知のものがあること前提にしていたんではなかったですかね。


ところがやっぱり、ただの波と考えたのでは説明できないことがあるとアインシュタインが言い、
結局のところ「光は波であり、粒子である」てなことに落ち着いて、現在に至るでしょうか。

それでも、波であることの方が早い段階で裏付けられたかのように思われたことと同様に、
普段の理解としては光は波動、つかり光の種類によってそれぞれに波長を持っている…

てなあたりのことが得心の行きやすい部分でもあろうかと。


では、光の種類と言ってはみたものの、どんな種類があるのかとなりますと、
今回の展示で大いに知識を得るところとなったのでありますよ。


まずもって「可視光」というくくりがありまして、
文字通り見ることができる光ということなんですが、
そもそも見えない光というのが(文系人間には)ピンと来づらいような。
だいたいからして見えるから光なのだろうと…。


ですが、あくまで人間が見ることのできる範囲を「可視光」と言っているわけで、
他の生物にはもっと違った見える(見えないことも含めて)範囲があるのですなあ。


とまれ可視光を中心にして考えるわけですが、
これをプリズムのようなもので分解すると徐々に色調が異なって連なる階層が現れますですね。
あたかも虹のように。


ちなみに虹が7色ではある!とはニュートンの言いだそうですけれど、
虹だってたぶんよおっく見れば、7色にくっきり分かれているわけではないですよね。


ま、それはともかく、その色の階層を波長の違いで見ていきますと、
波長の長い(山と山の間が長い)方の端っこに赤があり、

反対に波長の短い方の端っこに青というか紫がある。

で、人に見える赤よりもさらに波長が長い方向にはいわゆる赤外線があり、

反対方向の紫の先にあるのが紫外線。
全くもって「なるほど」なネーミングではないかと。


ただし、赤外線、紫外線と言われたときに、
それが「光」であるとの認識は(くどいですが文系人間には)なかなか無いようにも思います。
それに輪を掛けてですが、赤外線よりもさらに波長の長いものはもはや電波の領域で、
紫外線よりもさらに波長の短いものは「X線」や「γ線」、そして電磁波の領域になってくるらしい。
これらをいったいどこまでが「光」であると考えたらいいのやら…。


ところで、この色の違いを宇宙の星々で考えてみますと、
赤く光る星は温度が低く、青っぽく光っている星は温度が高いてなことでもあるようです。


昨今のイルミネーションで多用される青色LEDの灯りを真冬に見ると凍える思いが増す気がして、
反対に赤やオレンジ色の灯りにはほんわかさせられるのですが、
どうもこうした人工的な色合いとは別に自然な発光においては、
寒色、暖色てな言い方は成り立たないのですなあ。


では、青く見える花が触ると「あちち!」てなことになるかといえば、

そんなことはない(言わでもがなですが)。

これはいろいろな色合いが融合されている光のうちで、青い花は青を、赤い花は赤を、
緑の葉は緑を反射しているからであって、直接的に発光しているわけではない。


こうした花の色といったものが、どこから見ても青は青、赤は赤であるのに対して、
見る角度によって色が変わるものがありますね。


構造色と言われるようですが、

Wikipediaに例示されているコンパクトディスクとかシャボン玉とかは、
とても分かりやすい例ではないかと。


加えて、南米あたりで採集できるのでしょうか、メタリックに輝く大きな蝶なんかもやはり構造色。
モンシロチョウがどこから見ても白に黒い点であるのとは、そもそも違う仕組みを通して
人の目に色が届いているのだそうでありますよ。


展示の中では、宇宙からの光に関連して宇宙探査のことがかなり詳しく紹介されていたですが、
その部分は相当に端折ってしまったものの、科学の分野は子供並み(あるいは以下か…)ですから、
それなりに「ほぉ」とか「へぇ」とか思いながら見て来た「ヒカリ」展なのでありました。