台風が近づいてきておりますなあ。
今年は比較的台風が少ないように感じておりましたが、まだまだこれからということになりましょうかね。
とまれ、そんな台風接近の予報を目にして、先日のEテレ「サイエンスZERO」(の再放送)で
「被害ゼロを目指せ! 台風予測の最前線」を見たのですけれど、「ふ~ん」てなもんでしたなあ。
まず、あれこれの分野で科学が進歩する中、こと台風に関する科学としても、
かつてに比べると進路予想という点では結構進んだようでして。
天気図には台風の予想される進路を円で描きますけれど、この予報円が昔よりも小さくなった。
すなわち、予測の精度が上がったということになるようで。
さりながら、こと台風の勢力がどうなるのか、
強くなるのか、弱まるのかについてはなかなかに難しいようですなあ。
だいたい台風の勢力を表すのに使われるヘクトパスカルという単位、
昔はミリバールと言っていて、変更されたときには馴染むのに時間が掛かりましたが、
この単位の数値が小さくなるほど強力な台風と受け止めてよいものの、
この数値というのがそもそも推定値であったとは…。
雲のようすなどを観察した結果として(雰囲気で?)このくらいだろうとして
発表しているものなのだそうで。あたかも地震の震度が人の感覚で測られるような感じでしょうか。
人間の感覚も、ある面では決して侮れないものでありますけれど、
数字で表されるデータに関して人の感覚てなことを聞きますと、
要するに目分量であるか?とも思えてしまうわけで。
ではありますが、いざ「台風の真ん中に船で近づくことはできません」と冷静に言われると、
改めて「そうだあね、思い至りもしなかった…」と。
台風は海を渡ってくるわけですが、その通る道々である海上を船で近づいて気圧計で測ることは
そりゃあ、できないことでしょう。従って、推定値に頼ることになるのであると。
リアルタイム現在の台風の勢力が推定値となりますと、その後の勢力予想では推定の上に推定を重ねる、
結果当たり外れが出てしまうのですなあ。
例えばあるとき、台風は巨大勢力となって日本列島にやってくることが予想され、
気象庁はじめTVなどではこぞって「命に係わる…」とか「身の安全を第一に…」などと伝えていましたが、
ふたを開けてみれば、台風10号は日本に近づくに従って勢力を弱めていったのであると。
なんとなれば、先行したひとつ前の台風が海をかき混ぜて、ちょうど当の台風の通り道となる海面の温度を下げ、
あえなくその台風は栄養不良に陥り?弱まった…というのが、後付けで分かったのであるそうな。
台風の進路予想のみならず、天気予報に関しては昔に比べて情報も細かくなりましたし、
精度ももちろん上がったと思いますけれど、上がったら上がったなりの精度での
当たり外れを厳しい目で見たりするようになってしまうところもありますなあ。
こうした慣れによる対応、受け止め方の違いというのは、天気予報に限らず、
何ごとにつけよくある感覚ですけれど、例えば大きな台風が来ると聞かさされて
肩透かしに終わったとして、それはそれで「ああ、良かった」と思えばいい。
そんなつもりでいたいものであるなあと思ったものでありますよ。
もっとも、そんな姿勢であっては科学は進歩しないようで、
関係する学者の方々は貪欲に「知ろう」という気持ちを持ち続けているのでしょうけれど。
やっぱり科学者とアスリートが持つような貪欲さはヒトの本能なのかも。
だからこそ、普段の生活においては「足るを知る」てな警句が必要にもなるのでしょうかね…。