ということで、昭和記念公園・花みどり文化センターの展示変わりに遭遇し、またそこで見たお話を少々。

ひとつは国立科学博物館巡回展としてあちこち回る展示なのでしょうか、

「ダーウィンを驚かせた鳥たち」という展示でありました。

 

 

1831年12月、ダーウィンを乗せたビーグル号がイギリスのプリマス港から出航して大西洋を南下、

ホーン岬を巡って太平洋に出てガラパゴス諸島に至るわけですが、到着までに4年近く掛かっているのですなあ。

大変な航海です。

 

ともあれ、ガラパゴスに上陸したダーウィン、大きなゾウガメに目を止めて、航海記にはこのように記したと。

この巨大な爬虫類は、黒い溶岩と、葉のない灌木と、大きなサボテンとに囲まれて、私には空想的な太古の動物のように見えた。

ガラパゴス諸島の4島で「島ごとにゾウガメの甲羅の形が違うこと」を発見、

「非常に強い海流により個々の島が隔離された状態」であることから、

島それぞれに独自の進化をたどったと見るわけですね。いわゆるガラパゴス的状況であると。

 

そもガラパゴス諸島自体は南米エクアドルの沖、大陸から約1,000キロも離れており、

一度も大陸と地続きになったことが無いのだとか。遠く海を越えてたどりついた生物だけが、

結局他に行き先がなくなって独自の進化を遂げていた…これがガラパゴスの生物であったのですなあ。

 

ところで、ダーウィンが目を止めたのはゾウガメばかりではないわけでして、

展覧会タイトルにもありますように鳥にも驚いた。それがダーウィンフィンチと呼ばれる鳥でして、

これの観察・分類が「進化論」という着想へのヒントになったということです。

近縁な関係にある鳥のグループで、体の構造にこのような類似性と多様性が同時に見られるということは、この群島にもともと鳥の種が少ないことからしても、1種類の鳥が様々に異なる極へと変異していった結果と考えられるのではないか。
もしただ一種の祖先が渡来しこれだけの多様性を持つに至ったとすれば、種の不変性は揺らぐかもしれない。

最初は「いろんな鳥がおるなあ」というふうに見ていたようですな。

されど「くちばしの構造、短い尾羽、体の形、羽の色などの類似」からひとつのまとまったグループと見立て、

15種もの鳥たちをダーウィンフィンチというグループに分類したのだそうでありますよ。

 

 

 

よほど学者的目線で見比べなければ区別がつかないように思うところながら、

この鳥たちは「ただ一つの祖先種から多様な形質の子孫が短期間に出現する」という

「適応放散」の代表例として知られ、だからこそダーウィンフィンチと名付けられたのでもありましょう。

 

今でこそ「ガラパゴス」という言葉には、ともすると時代遅れ感のニュアンスを抱かせるところもあるわけですが、

独自性という点に着目すれば、一概に切り捨ててしまってよいものではなさそうでありますね。

ユニバーサル化の著しい中ではありますが、改めてガラパゴスに思いを馳せつつ、

そんなことを思うのでありましたよ。