主に小学生向けでしょうか、学習漫画というものがあり、よく見かけるのは「日本の歴史」「世界の歴史」、

そして世界の偉人伝の類でありましょうか。小学館や学研という学年別学習雑誌を出していた出版社に加え、

児童書のポプラ社、さらに集英社や角川も、この商圏には参戦しているようですなあ。

 

さりながら同企画であっても、その全集にどんな偉人を組み込むかは編集方針というのか、

意見が分かれるところでしょうけれど、これをまとめて調べたサイトによりますれば、

世界の偉人といいながら、ヨーロッパから45人、アメリカ・カナダで19人と来て、

アジアからは4人、アフリカから3人とは、いかにもこれまでに作り上げられてきた「世界史」なるものの

反映でもあろうかと思えるところではなかろうかと。

 

ちなみにアジア代表?の4名とは、諸葛孔明、イエス・キリスト、チンギスハン、ガンジーという面々で、

どうやら先に挙げた出版社のどこかでそれぞれに取り上げているらしく、複数社での掲載は無いようですね。

 

一方で、複数社が取り上げている…となれば、誰から見ても偉人でしょ率が高いと想像するわけですが、

その高率獲得者はアンネ・フランク、キュリー夫人、ナイチンゲール、ヘレン・ケラー、クレオパトラと

なぜか女性が並んで、今日情勢からして女性を取り上げる比率に配慮した結果として

重なって取り上げられる人が多いということなのかもです。

 

が、こうした重複して取り上げられる率の高さでこの方々に引けを取らない、

つまり偉人度の高い人物のひとりがトーマス・アルバ・エジソンその人なのでありますよ。

 

ただ、エジソンが後の世の発展につながるさまざまな発明をしたということ自体は大したものだとして、

よく知られるように、いわゆる褒められる人物であったかどうかは微妙なところでありますなあ。

ドラマや映画でもよく取り上げられるところですが、この映画「エジゾンズ・ゲーム」を見てもやはり…。

 

 

これまたタイトルの話で恐縮ながら、「エジソンズ・ゲーム」というタイトルは

原題のカタカナ化のようでいてさにあらず。原題は「The Current War」、電流戦争てなところですね。

とてもゲームなどといって片付くものではありません。

 

この手の話はエジソンの直流に対してテスラの交流という対立軸で語られるケースが多いですが、

ここでエジソンに対するのはジョージ・ウェスティングハウス、今ではもっぱら原子力関連企業として、

日本では東芝との関係などからも名前を聞くウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーの元を

作り上げた人物ですなあ。

 

それにしてもエジソンが自らの直流送電を全米に行きわたらせようと遮二無二、

それこそなりふり構わず進む中では敵対陣営への誹謗中傷など、あらんかぎりの手立てを講じるわけで、

この姿には「偉人ねえ…」と思わずにはいられないところであろうかと。

 

ともあれ今では全米はおろか全世界に交流による送電網が敷かれていますから、

結果は言うまでもないところですね。電流戦争の勝敗が明らかになって後、

ウェスティングハウスにはアメリカ電気学会から交流システムの業績によって賞を授与されるのですが、

この賞が「エジソン・メダル」という名称であるとは、何とも皮肉な気がしたものです。

 

「エジソンは何にでも名前を付けるが、忘れられるのを怖がっているのか。

名前をだけなら大統領を暗殺するだけでも残る。 名誉が残せるかどうかだ」とまあ、

こんなことを映画の中でウェスティングハウスは言っておりましたですが、

それほどに名前にこだわったエジソンは、エジソン・メダルという名誉にも名を遺したことになりますか。

 

一方、ウェスティングハウスは忘れられたようでもありますけれど、

アメリカがアメリカの偉業として喧伝するにはエジソンの方が良かったという、

本人たちとは違うところでの選択の結果であるのかもしれませんですが…。