ふと「こんな番組、やってたんだね…」と目を止めたEテレの「ふるカフェ系 ハルさんの休日」。

カフェという以上に建物へのこだわりから、ここのところ何度か見ていたのですけれど、

そうしましたら番組で使われている曲がどうも頭に残ってしまい…。

 

ちょいと前までは、♪ラメチャンタラギッチョンチョンデ…の「東京節」

ひたすら脳内ヘビーローテーション状態だったところが、すっかりそれが置き換わってしまって。

このあたりのトリガーというのは、どうしたことなのでありましょうねえ。

 

とまれ、「ふるカフェ系」で使われていますのが、

つじあやのがウクレレでぽろんぽろんと弾く「なんとなくなんとなく」という曲でして。

♪君と逢ったその日から なんとなくしあわせ
 君と逢ったその日から 夢のようなしあわせ
 ……
 こんな気持ち はじめてなのさ 分けてあげたい このしあわせを
 なんとなくなんとなく なんとなくしあわせ
 なんとなくなんとなく なんとなくしあわせ

番組では音量絞りめで流れますので、歌詞はあまり判然とせずひたすらに

「なんとなく…」とたゆとうているような浮遊感がありまして、

ウクレレぽろんもそのほのぼの加減を弥増すところとなっているような。

それこそ、なんとなくいい気分?てな気になってしまうところなのでありますよ。

 

さりながら実はこの曲、ザ・スパイダースがオリジナルであるという。

いわゆるグループ・サウンズと言われ、ひと頃ブームとなった数あるグループのひとつですなあ。

 

改めてwikipediaに「当時の音楽の先端であったビートルズ、ローリング・ストーンズなど

ブリティッシュ・ビート・グループに強く影響を受けていた。」とあるのを見て、激しい驚きを禁じえず…。

 

メンバーに堺正章、井上順と並ぶところを見る限りではコミック・バンドだったのではと

思ってしまうところですけれど、どうやらそういうことでは無かったのですなあ。

 

他のメンバーとして、さまざまな映画やドラマに楽曲を提供している

大野克夫と井上堯之がいて、「おお!」とも思ったものです。

この二人では何よりもドラマ「太陽に吠えろ!」の音楽を思い出したりもするもので。

 

ところで、さらにもうひとりのメンバーがかまやつひろし(何とも多彩な陣容ではありませんか)、

その作詞作曲によるのが、件の「なんとなくなんとなく」であったということで。

 

試しにYoutubeで、ザ・スパイダースのオリジナル・バージョンを聴いてみたですが、

これがまたブリティッシュ・ビート・グループの影響云々とはおよそかけ離れた世界。

むしろウクレレぽろんのほのぼの感にも近いものでありましたですよ。

やはりこの曲にエレキギターでじゃかじゃかは合うはずもなく…。

 

と、かような曲である「なんとなくなんとなく」ですけれど、

これが脳内ヘビーローテーション化した理由はひとえに「なんとなく」という言葉でしょうかね。

 

会話の中で「どうして?」、「なんとなく」というやりとりがあったとして、

シチュエーションによっては「真面目に応えんかい!」ともなろうかというひと言ながら、

古来日本語には「そこはかとなく」という言葉がありますように、

雰囲気を感じてよしとするところもあるわけです。

 

これが近代化、はたまたグローバル化などと呼ばれもする中で、

資本主義による効率化が突き進む中で「イエスかノーか」、

言いたいことははっきり言うべしてなことが社会の中で当然のようになってもいるご時勢だけに

改めて「なんとなく幸せ」という、このなんとなく感がひどく愛おしい気がしてこようかと。

 

特に昨今のように、どこへなりとも気軽に出かけて何かするということがかなわないときに

ひたすらとは言わないまでも自宅で過ごすことが多く、相も変わらず見慣れた室内に

「ふう」とため息をついたりすることもあろうかと思うわけです。

 

さりながら、「ふう」というのが実はほっとひと息つけている「なんとなく幸せ」な状況なのかもと、

そんなふうに考えると、束の間ほのかな幸福感を抱いたりもするような。

この感覚がまた愛おしいといいますか。

なんとなく、そんなことを考えたものなのでありましたよ。