昨2020年のGWを挟んだ今頃の時期は緊急事態宣言下にありました。

そして、今年2021年もまたGWを挟んだこの時期、緊急事態宣言下におかれておりますな。

「不要不急の外出を控えるように」、この掛け声だけは変わらず…。

 

ですが1年経っても相変わらずコロナ感染のリスクはどこにも転がっているのではありましょうけれど、

少なくとも1年前よりは、どのような状況が高リスクであるかをそれなりに学習してきた気がするのですよね。

もっとも個々にその認識が異なることもあり、ともすると「コロナ慣れ」などという言い方もされますけれど、

新型コロナウイルスの捉え方において、1年前の状況と全く同じということはないわけです。

 

そんな中で行政から発せられるのは、相も変わらず「不要不急の外出を控えるように」の一点張り。

横文字を使えばいくらか体裁がいいと考えているのか、ひたすらに「ステイホーム」を強いることばかりなのですな

 

何をどうするにも全く感染リスクが無いとは言えないとは思うものの、

どういう状況がより高リスクであるのかを具体的に発信することもなく、求めるのは我慢ばかりで、

一方では5/12の宣言延長に及ぶや、(一定条件はあるにせよ)イベントや劇場が開かれるのに対して、

引き続き映画館や美術館は閉館が求められているという、このちぐはぐさ。

一体、何をどうさせたいのか、全くもってつかまえにくいところです。

 

宣言下にあったGW、個人的には昨年同様にほとんど自宅とその近所をうろうろするくらいに終始したですが、

これは感染を恐れるあまりというでなく、かといって行政の呼び方を鵜呑みにしていたわけでもなく、

あちこち出て歩くことが「ああ、こうして出歩いている人がいるのだから、自分もいいのだ」と考えてしまう他者の

エクスキューズのタネになってしまうのを避けんがためと言ってよろしいかと。

たかがひとり、されどひとり…。

 

当初、GWには山梨に出かける予定にしておりましたが、個人のレベルで考えれば、

列車移動といっても2時間足らず、一般の通勤客とさして変わらぬわけですし、行ってしまえば

山梨の方が東京にいるよりもリスクは少ないであろうと想像もできたところながら、

先にも触れたように「ああ、この人も観光に行くんだから…」てなふうな見られ方をしようものなら、

出かけた先に心ゆくままお楽しみを満喫てな気分には到底なれないと思って、取りやめたのありますよ。

 

それが表面上、行政のヒステリック(でしかもちぐはぐ)な要請に

唯々諾々と従っているかのようであるのが実のところ癪に障るとも考えたりしたものでして、

あたかも「リスクは他より低いであろうなあ」と思いつつも閉館要請に応じている美術館のごとしかもと。

 

確かに都心で開催される展覧会の中には長蛇の列ができ、会場内も大混雑するものがありますけれど、

そういう可能性のあるところほど事前予約や人数制限をしておりましょう。

また、混雑の可能性が低いところでも、昨年来言われ続けている感染対策(検温や手指消毒ほか)を

およそ漏れなく施しておりましょう。それでも閉めろとは…。

 

そんな具合ですから、行政の言に唯々諾々ではなくとも、出かける先にが無いというのが現実。

ところが、居酒屋で酒を出さないなら外で大騒ぎしてもよかろうてな、理解しがたいといいますか、

これまでの1年に何の学習もしてこなかったのかと思われる挙に出る人たちのようすが流れるにつけ、

暗澹となるばかりではありませんでしょうか。

 

と、実はかような状況の中にあって、もしかしたら多摩地域で唯一でしょうか、

開館している美術館がありまして、それはそれで何だか心意気を感じるところでもあり、出かけたきたのですね。

その展覧会のお話をしようと思いつつ、前置きを描き出したところ、そればかりが長くなってしまい…。

東京・多摩市にある多摩美術大学美術館、そこで開催中の「現代日本画の系譜 タマビDNA」展のお話は

また次に記すことにいたしましょう。