前回のEテレ「らららクラシック」は何とも興味深かったですなあ。

「クラシックとヘヴィ・メタルの親和性を探る!」という企画は

端からその両者を楽しんでいる方々には「何を今さら」なのかもしれませんけれど、

およそ後者の側に近づいたことの無い者にとっては「そうなの?」と。

 

それでも、番組冒頭にエレキギターでモーツァルトの「トルコ行進曲」が演奏された段階では

あまりピンと来ずに「うむむ…」という状態であったものの、いざバロック音楽との近しさに及ぶや、

膝を打たんばかりになりましたですよ。

 

そもへヴィメタルの特徴はといえば、重低音志向といいますか、文字通りに「ヘビィな音」であるようですが、

これに加えて超高速ギタープレイが見せ所、聴かせ所でもあそうな。曲の中にもギターソロが大活躍する部分が

必ず出てくるともなれば、これはもうカデンツァ以外のなにものでもないわけですし…なんつうことに思い至ると、

そういえばイングヴェイ・マルムスティーン(さすがにその名前くらいは知っておりまして)はギター協奏曲を

作ったりしていたのだったなあと、ふと思い出したりも。

 

正式にはエレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏組曲 変ホ短調「新世紀」という、

調性まで示されたいかにもな題名となっておりますが、これをかつて新日本フィルと共演したライブが

Youtubeで見られるとあって、早速にお試しに及んだ次第です。

 

バロック音楽との近しさということでは先の番組でもヴィヴァルディの「ラ・フォリア」が演奏されてましたが、

マルムスティーンの協奏組曲からは「ああ、ヴィヴァルディ」と思わせるものがありましたですよ。

緩急織り交ぜた曲の中で、急の部分ではヘヴィメタルらしい速弾きが繰り出されるも、

一度思い込みができますともはやヴィヴァルディの協奏曲が浮かんできてしょうがないてなことに。

 

一方、緩の部分に流れるメロディにはバロック、あるいはクラシカルというよりも

なんだか70年代、80年代歌謡曲を思わせる懐かしさのようなものがあって、いささか苦笑してしまったものですが。

 

しかしまあ、この似てる、近しいということが決して偶然ではなくして、ヘヴィメタルのミュージシャンの中には

相当にクラシック音楽に触発されたという事実があるようなのですなあ。

イングヴェイ・マルムスティーンにしても、超絶技巧で知られるパガニーニのヴァイオリン曲に影響を受けたとか。

 

よく知られていますように、パガニーニの超絶技巧は悪魔に魂を売り渡して手に入れたなどとも言われるわけで

こんなところもヘヴィメタルが悪魔志向?だったりするところと関わりある由縁であるかと一人合点したり。

パガニーニばかりでなく、バロック期の作曲家タルティーニには「悪魔のトリル」なんつう曲もあり、

悪魔からのインスピレーションはバロックからヘヴィメタルに受け継がれたか?てなふうに思ったりもしましたですよ。

 

まあ、悪魔関係のことはともかくも、もっぱらギターソロという部分的な要素だけではありますが、

ヘヴィメタルが少しだけ親近感が湧いたような次第。

それでも、まだまだ深入りする気にはなれないのですけれどね(笑)。