実は自宅にひとつ果樹があるのですなあ。
もう(覚えていないくらい前に)ホームセンターで売られていた苗木に
「これも家で育てられるのであるか?!」と飛びついて、衝動買いしたものです。
しかしこれが、まあなんともすくすくと成長してくれてしまうものでして、
しかも童話の「ジャックと豆の木」をイメージしてもらいますと想像しやすいと思いますが、
つる状にどんどんどんどん伸びていく。
地べたに植えたものが今ではすっかり2階の南面を覆いつくすまでになり、
あわよくば近くの電柱や電線に絡みつこうとまさに食指を伸ばすものですから、
剪定を怠るととんでもないことになるという、
とても世話を焼かされるものなのでありました。
それが、雄の木と雌の木とふたつ揃えなければ実を結ばないというでしたので、
ご丁寧にも2本並べて植えてあるものですから、その手間は倍になるわけです。
あるとき、あまりにわさわさすることに業を煮やし、不用意にもかなり太い枝を切ってしまうと、
なんとそれは雄の木の幹だったものですから、すっかり雄はおじゃんになってしまい、
以降、雌の木だけが相変わらずわさわさし続けるも、
(雄がないので)決して実を結ぶことが無い、単なる日除けと化して、早や幾星霜…。
ところが、今はなんでもネット通販で手に入るものですな。
受粉用の花粉を販売しておったものですから、試しにこれを購入、せっせと筆先でもって
花につんつん花粉を付けてみたのでありますよ。すると、どうでしょう。このとおりです。
果樹と言ったまま、ひっぱりにひっぱってその正体を明かしておりませんでしたけれど、
ご覧のとおりにキウイ。なかなかにたわわな実りの秋です。
では早速に食してと…、がっついてしまってはいけんのだそうですね。
もぎ立てはかなり実がかたいのですけれど、これを1週間から10日ほど置いておいて追熟させる。
その時に、リンゴと一緒に袋に入れておくというのが、ポイントのようですなあ。
(リンゴから出るエチレンガスがいい具合の元だそうで)
それが証拠に、しばしリンゴと仲良く置いておいた後のキウイは、いいあんばいに熟したようで。
市販のものほどおおぶりの玉にはなっていませんが、逆に小さいものでも熟せば食べられますね。
しかも、思いのほか甘みも十分、とても自宅のベランダ先で採ったものでもおいしくいただけるものですなあ。
まあ、買ってもさほどに食べ物ではありませんですが、
市販品でキウイらしいと思われる色みとも違う種類らしく見た目も鮮やかで食するとおいしい。
文句のない実りのあった2020年の秋なのでありました。やればできるのですなあ。