…ということで、栃木県と茨城県の県境・八溝山地の山あいを抜けていくのですけれど、
主峰である八溝山の南には八溝川湧水群という名水ポイントがあるのですなあ。
「八溝五水」とまとめて呼ばれもしますが、
それぞれに金性水、鉄水、龍毛水、白毛水、銀性水と命名されておりまして、
名付け親はやはり徳川光圀であったというのですな。
ちなみに黄門様のお気に入りは金性水であったとか。
とまあ、そんな話を聞き及べば、先日来、湧水にこだわったりもしておりますので、
立ち寄りたい気持ちは山々なるもお天気が優れない中でしたので、止む無くスルー。
その代わりに立ち寄ったのが、茨城県大子町に入ってほどなくの場所にあるこちらなのでありました。
降ったりやんだりのお天気の最中、写真を撮り忘れたのでリーフレットからの借用画像で
裏側の文字が裏写りしているのがご愛敬ですけれど、立ち寄ったのは「大子ブルワリー」、
「やみぞ森林ビール」というクラフトビールの醸造元なのでして。
なぜにこの場所に?という点ではリーフレットにはこのようにありますですよ。
年間を通して水温・水質ともに安定した、ビールづくりにもっとも適した大子の湧水があってこそ「やみぞ森林ビールは生まれたのです。
湧水自体にはたどり着けませんでしたですが、代わりにその湧水の恵みたるビールを味わおうとまあ、
そのように考えた次第。レストランで食事とともにという味わい方もあるわけですが、
先に食したししまるそばはなかなかに腹持ちがよかったものですから、ここは購入に留めることに。
ところで、ビール造りに水が大事とは、「ビール」の成分の約9割は水であるだけに想像はつきますが、
中世修道院でビール造りが行われ、水がわりに飲むことが推奨されたりもしたところながら、
その実、ビール造りには水が必要なんでないの…ということが気になったり。
ですが、これは何とも思慮の浅いところであったなと思いますのは、
当時は水が保存できない、だから汲んでおいて腐ったりしてしまった水を飲むよりは、
保存のきくビールを水がわりにした方が病気になったりしませんよ、ということだったのですなあ。
とまれ、大子ブルワリーで造られている4種のビールの中から
今回はピルスナーとヴァイツェンの2種を選んで買い求め、
その晩の宿での部屋食に合わせたお楽しみということにしたのでありました。
瓶に貼られたラベルもなかなか良いデザインでありますね。
もちろん中に詰まったビールそのものも大変おいしくいただきましたですよ。
取り分けヴァイツェンはドイツに出かける度ごとにあちこちで飲んだ味を思わせるという。
「マイスターはじめ、醸造プラント、麦、ホップなどの原料まで本場ドイツにこだわ」ったという成果なのでもありましょう。
ですが、そこに地元・八溝の湧水で仕込まれて個性を醸し出すビール。
それを袋田温泉での、地元食材を使った食事とともに…というのはその晩のお話ですが、
宿にたどりつく前にもう一カ所立ち寄ったところがありまして。
次はそのお話でございます。