ということで、車便乗で山梨を回ってきたわけですが、甲府盆地というのはやはり暑いですなあ。

そんなこともあってか、横溝正史館の次に立ち寄りましたのは山梨県都留市。

ここまでに寄ったところよりは断然東京寄りになるわけではありますが、

なんでも平成の名水百選のひとつ、「十日市場・夏狩湧水群」とやらがお目当ての場所なのでありました。

 

 

掘割の中を滔々と水が流れておりまして、これだけを見ると「疏水百選?」と思ってしまうところながら、

単に水の通り道をこしらえたのではなくして、ここを流れる水が「湧いている」というのが肝心な点ですな。

しかも、ここは富士山の伏流水が流れ出ているわけですから、数々の地層を通り抜ける過程でミネラルたっぷり、

不純物も取り除かれて実にきれいな水になっているわけですね。

 

 

水源に行ってみれば、確かに岩の隙間、地層の隙間から水が湧きだしているというか、沁み出しているというか。

これがどれほどきれいな水であるのかは、梅花藻が群生していることが何よりの証拠と言えるのではなかろうかと。

 

 

 

ところで、この場所は「湧水群」でありますので、水源は一カ所ではなく方々で湧いているのですな。

ここで見た「長慶薬師霊命水」(きれいな水だけに眼病にご利益ありとか)の水源などはかわいい方です。

続いては「太郎・次郎滝」と名のついた場所へも寄ってみたのですね。

 

 

案内板に従って、柄杓流川の河原へと向かう道を進んでいきますと、

東側の崖の壁面、もうありとあらゆるところから水が噴き出しているといってもいいほどなのでありますよ。

 

 

そして極めつけが「太郎・次郎滝」と名のついた大きな流れの流れ落ちる場所になります。

いやはや、この場所の何と冷涼なことであるか!天然のクーラー、探せばあるものなのですねえ。

 

 

富士山に降った雨や雪が地中深く浸透し、伏流水となって堅い地層の裂け目から湧き出してくる。

こうしたことは静岡県三島市の柿田川湧水でも見ましたけれど、あちらは水の底から「湧いている」感は言葉どおり。

ですが、こちらは壁面が噴き出しているのですよねえ。しかも水量の多いこと、驚くべしです。

 

 

こののちは渓谷に近い温泉宿で一泊となりましたですが、

その宿へと向かう道沿いが湧き水のだだ漏れ状態で、車道まで冠水するありさまだったのですな。

とにもかくにも富士山の懐深さのたまものであろうと言えましょうかね。