かなり前にNHKの30分枠で放送されていたのを見たことがあるなとは思ったですが、

(後の検索でシーズン1の放送は2009年だったようです)映画にもなっていたのですなあ。

「劇場版タイムスクープハンター-安土城 最後の1日-」を見てみたのでありますよ。

 

 

要するにタイムトラベルものでして

ふいにどこか時間の違うところに行ってしまうタイムスリップではありませんので、

何らかの仕掛け(そのあたり、妙に科学的な理屈は示されませんが)によるタイムトラベル機能によって、

過去の出来事を取材し、実況レポートする「時空ジャーナリスト」のお話ですね。

今回のストーリーをフライヤーから拾ってみます。

タイムスクープ社の時空ジャーナリスト・沢嶋雄一(要潤)は、“本能寺の変”直後の京都にいた。今回の取材対象者は、幻の茶器を持つ商人を博多まで護衛する命を受けた名もなき侍・矢島権之助(時任三郎)。彼らに密着取材を試みる沢嶋だが、事態は思わぬ展開に。“未来の武器”を持つ謎の山伏に襲われ、茶器が滝壺へ流されてしまったのだ。このままでは歴史が変わってしまう!ただちに歴史修復作業に取り掛かる沢嶋と、新人ジャーナリスト・細野ヒカリ(夏帆)。消えた茶器の捜索の末、彼らが最後に辿りついた先は、信長の居城、安土城。奇しくもその日は、安土城が焼け落ちた、“最後の1日”だった―。

とまあ、歴史上の大きな謎となっている安土城焼失、まさにその日その場所で見たことを

レポートするということになるわけですが、ここで肝心なのは「時空ジャーナリスト」を派遣するタイムスクープ社に

二つのセクションがあるということでしょうか。

 

第一調査部は「歴史上の大事件や有名人物の調査」に当たるのに対して、

第二調査部は大事件の背景としてそこにいる庶民のありようを探ることを使命としている。

もちろん、仕事として華々しいのは前者ということになりますけれど、主人公の沢嶋は後者に所属し、

むしろ後者であらばこそ歴史に記されないことを掘り起こせるものと考えているわけでして。

実はこの視点、忘れてはならないことのように思うのでありますよ。

 

歴史はさも有名な人々が有名な出来事を重ねて出来ているようでありながら、

その実、その有名人に名もない人が何らかの作用をしたかもしれず、

大事件が大事件となる裏には思いもよらぬ偶然があるのかもしれず、

そうしたあたりを掘り起こしてこそ真実がつかめる…というわけなのですね。

 

と、ここまで来て思い出しますのは、先日「ハロルドが笑うその日まで」を見た時に考えたこと。

どこかで起こったささいなことが、だれかが起したささいなことが、バタフライエフェクトとなって、

世界の歴史を作り上げているのではなかろうかとも、改めて思うところなのでありますよ。

 

ですから世界の歴史は広く名の知られた人物たちが作り上げたと言い切れるものではなくして、

そのときそこにいる人々の全てが何らかの関わりを持ってできている、つまりは結果的にもせよ、

全ての人の存在には意味があるということになりましょうか。

 

この時代SFエンタメ映画を見ながらそんなことを考えたわけですが、

映画の話に戻れば、最後の最後で安土城が燃え上がる、その原因はと探ってみれば、

それぞれ意図的とは思えぬちいさな出来事の重なり、決定的にこれだとは言えない原因によって

豪壮無比な安土城が灰燼に帰してしまう。

 

案外、実際にもそんなことであったのかもと、思ったりするのでありました。

(もちろん映画のお話をそのままに信じる人はいないと思いますが…笑)