例によって週末のお出かけは近所で済ませることにして…というわけでもないのですけれど、

たまたま「え?!開いているであるか?」と、よもやの発見をしたものですから、

普段は取り立てて足を向けることのない施設に出向いてみたのでありますよ。

こちら、多摩動物公園でありまして。

 

 

さすがに三連休で、遠出はちと悩ましいけれどと思ってか、家族連れで結構な賑わい。

もっとも件のウイルス騒ぎが無かったとしたら、もっともっと人出があったのではと思うところです。

 

ところで、長らく東京に住まっているものの多摩動物公園を訪ねるのは初めてでして、

園内のようすを知る由もなかったところながら、見て回るには多摩丘陵の傾斜が連なる中を

ずいぶんと歩くことになるのですなあ。ちょっとしたハイキング気分とでもいいますか

 

そんな中でさまざまな動物に出くわすのですけれど、

今さらながらに動物園というのは生き物を動態保存して見せる博物館であるのだなということ。

単になんとかいう動物の動きがかわいいとか、そういうことだけではないのだなあと。

 

もちろん、癒しというのか、大げさに言えばアニマルセラピーというのか、

(触れることなく見るだけでもセラピーになるのかは分かりませんけれど)

そうした効果を求める(あるいは結果的にも得る)ことが目的であったとしても、それはそれでかと。

 

実際、動物の動きはそれぞれで、「タスマニアデビルはこちら」といった看板に誘われて行ってみると、

あまりによい陽気の故か、うつぶせ大の字でうたたね中であったり。

 

 

シドニーのタロンガ動物園で見たタスマニアデビルは、それはそれはせわしなく動き回っており、

これに比肩する動物を多摩動物公園で見出すなれば、唯一カワウソであったのではと。

あまりの動き回りようと、それだけ動くことで集客が多く写真を撮ることもままなりませんでしたですよ。

 

と、そんなカワウソは例外中の例外であって、かなりの動物が(その中には本来的に夜行性のもいるわけですが)

なんだかまったりとしておりましたなあ。動態保存といっても環境が大きく異なる場所でのことですので、

ここで見たとおりが自然の姿と思うのは誤りでありましょう。

 

そんな中でタイリクオオカミものんびり構えておったふうでしたけれど、

見ているうちに「ん?今、目が合った?」と思うや、やおら立ち上がって近づいてくるではありませんか。

 

 

檻の格子越しとはいえ、野生が垣間見えたその瞬間、こちらは獲物にでもなった気分になってしまったという。

何をもって恐ろしいと思うか、そのあたり、DNAに書き込まれていたりするのかもしれませんですね。

 

 

一方でトラになりますと(これも本来、実物は非常に怖い存在ですが)、

距離が遠いのと何やら餌にむしゃぶりついていて脇目も振らぬ状態であるのとで

恐怖心なく眺めやることができましたけれど。

 

とまあ、なにやら怖い系の動物ばかりになってますが、

常に多く人が集まるらしいコアラ館とかは閉まっていた関係もありましょう、

もっとも人だかりを呼んでいたと思われるのがレッサーパンダでありましょうかね。

 

 

元々ぬいぐるみみたいな姿であるところへ持ってきて、

あいにくと多摩動物公園にはジャイアントパンダがいませんから、パンダといえばこちらというわけで。

カワウソほどに忙しくなく、それでも活発に動き回る姿はまさに「人寄せパンダ」になっておりましたよ。

 

そして、動物園の人気者としては不動の地位にある?ゾウも人々をにぎわしておりましたなあ。

覗いたときにはちょうどお食事の真っ最中でありました。

 

 

その体の大きなに比べると、ずいぶん細かくなっている草を鼻先で器用にこねこねして、口元は運んでパクリ。

見ていて「おお!」と思いましたのは、こねこねの前、草にたっぷり水をかけるのですよねえ。

これによって草がまとまりやすくなるとは用意に想像されるところながら、ゾウもまたそれを知っている。

うまく運んでパクリとすると、拍手喝采となるのでありました。

 

と、かように人気者であるゾウの陰で?いささかうらぶれておるなと思えてしまったのがサイなのですなあ。

壁に向かってひとりもじもじ。ゾウのような客受けするパフォーマンスもありません。

 

 

サイのお尻ってこんなにイボイボだったのか…と、どうでもいいことに感心しておりましたが、

どうもこのサイ、壁に向かって顔をごしごしこすってばかりいるようにも見える。

そこで、顔が見える位置まで回り込んでみますと、ややや、なんとしたことでありましょうや。

 

 

サイにとってはトレードマークでもあろう鼻先の角が無い!どころか、すっぱり切り落とされているようす。

これが原因で、鼻先がさびしいのか、切り取られた痕がかゆかったりするのか、

しきりに鼻先を壁でこすっているその姿にはしんみりとさせられたものです。

 

しかしながら後付けで知ったことですが、昨年2019年の8月に多摩動物公園では

飼育員の方がサイの角によると思われるケガで亡くなられているのだとか。

見かけと違って元来おとなしいとされるサイになにが起こったか?とずいぶん取り沙汰されたようですが、

このとき見たサイの鼻先も事故と関わりがあるのでしょうかね…。

 

どのみち出かける先もなしとばかりに、いささかネガティブチョイスの行き先ではありましたですが、

行けば行ったでまたいろいろと知ることになる動物園なのでありましたよ。