房総半島を外房から巡って突先の野島埼を経たあとは、

本当であれば房総南部で西側にひょこっと飛び出した洲崎にも立ち寄りたいところながら、

(ちなみに「洲崎」と書いて「すさき」でなく「すのさき」と呼ぶという)

だいぶ日も傾いてきましたので洲崎は端折って内房の海岸沿いへ。

 

ただ、この日の宿のある岩井と進んで行く道すがら、ちょいとばかりの寄り道で立ち寄ったのが船形山大福寺、

一般には「崖観音」として知られているということでありました。

 

 

ご覧のように、切り立った崖、剥き出しの岩盤の中ほどにお堂が建てられてあるのですなあ。

先に訪ねた笠森観音は山の上に四方懸造りで乗っかっている形でしたですが、

こちらはまさにへばりつくように建っている。どちらが大変といって、やはりこの手の方が造るには大変そうな気が。

 

ですが、こういうところにこそ人は神秘の力を感じるのでありましょう。

なんでこんなところにと思えるような場所にわざわざ寺社が建立されるのはまま見られることなわけで、

以前訪ねた大分の羅漢寺などは典型的なロケーションといえようかと。

 

そういうところが今日では「パワースポット」と言われたりするところながら、

そもそも神秘の力を感じるような場所にヒトは寺社を建てたのであろう…とは前にも書いたとおりでして。

 

 

とまれ、海に面した高台にあるということでちょっとした展望台ともいえる崖観音、

えっちらおっちら登ってみますと、お堂はやっぱり岩にへばりつく状態でしたなあ。

この中に、行基が東国を巡った際に刻んだとされる観音像が祀られているそうでありますよ。

 

 

で、前に張り出した懸造りの舞台にまわってみますれば、いい眺め!…のはずなのですが、

あいにくのお天気であったことに変わりなく、どんよりとすっきりしない状況で…。

 

 

目の前に半島状に突き出たところに洲崎灯台があるのでしょうなあ。

寄らずに通り過ぎてきた洲崎ですけれど、ここで眺められたことで、まあ良しとして下りに。

 

 

と、ひいふう登ったときには気付きませんでしたけれど、斜面の途中には昨秋の台風被害と思しき姿がちらりほらり。

海に近い斜面とあって、風の吹き付けが厳しかったのでしょう、きっと。

 

 

台風の残した爪痕は、翌日訪ねた場所でさらに深く刻まれたさまを目の当たりすることになるのですが、

それはまたのちのお話といたしましょう。