先に四天王寺を訪ねたのちに、南に向かって歩いてまいりましたのは
何もあべのハルカスを見上げんがため…ではないのでありまして、一日方々歩き回ったあとに
もうひとつくらい覗きに行けそうだと考えた先があべのハルカス美術館だったのでありますよ。
18時まで開館していることと、ちょうど東京展を見ていなかったラファエル前派展をやっていることを
知っておりましたので、まあ、どんな美術館かなという好奇心もあり、そちらへ向かったわけです。
そうしたさなか、大いなるひとごみであたふたする一幕があったことは
「阿倍野橋渋滞」に書いたとおりですが、そうこうしてあべのハルカス美術館にたどりつき、
いざ入場券を買わんとしたそのとき、「これから50名の団体が入場しますが、よろしいですか?」と。
そんなふうにチケットカウンターで言われたものですから、「え?!」とばかりに周囲を見れば、
「ラファエル前派の軌跡」展という大きな看板前で、わいわいと集合写真を撮っている一群を発見。
即座に「また来ます」と言ってその場を立ち去ったのでありました。
もちろんまた来る機会がそうあるではないのですけれど…。
とまれ、かような事態があって「はて、どうしたものか」というときに、ふいに思い浮かんだのが大阪市立美術館。
公立だけに閉館が17時としてもコレクション展くらいは見られるのではと思ったわけで。
と、そんなふうにこのあたりだけさも土地勘がありそうに思えましたのは、
何を隠そう10年前、否11年前だったかな、佐伯祐三の回顧展を見るためにこの美術館を訪ねたのですよね。
伊丹の空港から阿倍野橋行きのリムジンバスで到着し、確か「あべちか」あたりで昼飯にラーメンを食したような。
今回、あべのハルカスから大阪市立美術館への移動に「あべちか」をちらり通り抜けたですが、
ここだけが十年前と変わらぬ姿で、昭和レトロをたたえているようにも思えたものです。
地下街から外へ出れば天王寺公園で「てんしば」と呼ばれるエリアが、こちらはこちらでおしゃれになって。
どうもイメージが違うといいますか。だいたい「てんしば」ってなかったよなあ…。
そんなことはともかくも、たどりついたのは大阪市立美術館でありまして、
そうそう、こんな建物であったなあとしみじみ思い出がよみがえるような気がしてきますな。
戦前の建物らしい風格といいますか(好き嫌いは別としてですが)、存在感はありますよね。
展示室の具合はかつて訪れたときにも、ヨーロッパの歴史ある(その分古さの目立つ)美術館を思わせるような、
そんな内部の造りに思えたというのは基本的に変わっていない…と感じるのは中に入ってからのお話。
結局、ほんの少々の移動に絡んで、単なる思い出話に終始してしまいましたけれど、
30分一本勝負で見て回った大阪市立美術館コレクション展のこと、それは次回譲りということであしからず。

