来年2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた関連ということでありましょう、
パナソニックセンター東京で「SPORTS×MANGA」という特別企画展が開催されていると
漏れ聞いたものですから、覗きに行ってみたのでありました。


特別企画展「SPORTS×MANGA」@パナソニックセンター東京
日本ほど漫画が生活の一部であり文化とまでなっているのは、世界でコミック文化を持つ国の中でも非常に珍しい。

これは本展開催趣旨の中の一文ですけれど、

大袈裟に思えるようでいて「なるほど」とも思える。
本展がクローズアップするスポーツ漫画でもそうですよね。


そのスポーツが流行っているから漫画に取り上げられるということもある一方、
漫画が人気になってその中で扱われているスポーツにも人気がでたりもするわけで。


黎明期の漫画には、子供の遊びがチャンバラごっこだったりもしたように
例えば「赤胴鈴之助」ですとか、武道ものというか、時代ものというか、
そういうものも多かったのではなかろうかと。


それが太平洋戦争後の占領下において「武道禁止」となるのですな。
さらにチームプレーなどの推奨から、まず浮かびあがるのが野球でしょうか。


Wikipediaによれば、日本最初の野球漫画と言われている「バット君」の

連載開始は1947年だそうですが、年代的に辛うじて知っているのは

「スポーツマン金太郎」あたりからになりましょかね。


その後に出てくる「ちかいの魔球」や「黒い秘密兵器」でピッチャーの主人公が
独自に編み出す変化球に焦点が当たり、「巨人の星」の大リーグボールへとつながるという。


その路線はさらに「侍ジャイアンツ」に受け継がれますますけれど、
「巨人の星」は「スポ根」という言葉にも激しく繋がりますですね。


星一徹のスパルタぶりは今や放送禁止になるのではないかと思ったりしますけれど、
星空の下で励むうさぎ飛びやら大リーグボール養成ギプスによる肉体改造、
とにもかくにも「巨人の星」をつかむまでは根性一徹の世界なわけです。


一世を風靡したスポ根ものは、がむしゃらに戦後復興期を乗り切り
高度成長期を成し遂げるという時代背景にはマッチしていたのでありましょうか。


ドリンク剤「リゲイン」のCMが「24時間戦えますか」と高らかに歌っていたことを考えれば、
世の中的にはバブル期まで根性路線を引きずり、ともすれば今でもそうした見方から
抜け出すことのできない一定年齢層(企業の経営層に多いような)がいるような。


漫画の方はそれよりも早く「スポ根」を脱却したと言えましょうか。
「ドカベン」、さらには「タッチ」となってくるとずいぶんイメージが違う気がします。


一方、時代を経るごとに漫画が取り上げるスポーツは広がりを見せますね。
その中では「仲間とスポーツをする喜びや理論に裏付けられたスポーツそのものの面白さを
描く」形にもなっていったようです。


さりながら、漫画になるスポーツの種類が増えていった頃には個人的に
およそ漫画雑誌を卒業してしまっていた関係からなんとかタイトルを知っているものは
「キャプテン翼」とか「スラムダンク」があたりでしょうか。


タイトルしか知りませんでしたので、「キャプテン翼」であってなお
「スカイラブハリケーン」ですとか、そういう必殺技的なものがあったとは
知る由もなく、展示を見ていく中で「そうなんだ…」と思ったものでありました。


とまあ、そんなような日本の漫画が世界に受け入れられていると聞いて久しいような。
なんでもフランスは日本に次いで日本マンガ消費国の世界第2位であるそうな。
また、2007年のドイツでは「様々な国・形態のコミック全てを含めた総売上の75%を
日本の漫画」が占めていたのだと。


もちろんそれぞれの国にはそれぞれの国なりのコミックの形があるわけですが、
日本のマンガをその国のフォーマット(判型や左開きであることなど)で出すと売れず、
日本のマンガ単行本そのままの形(吹き出しの中の言葉を置き換えるだけ)にすると
ヒットしたりするてなこともあり、結果的には最初からフランス人作家が
最初から日本の単行本仕様で作品を発表するなんつうことになっているとは。


そういえば、近ごろはとみに海外空港での出入国の際に係官が日本人と見るや
「ナルト」だの「ワンピース」だのと声を掛けてくるケースが増えたような。
こちらの方が「ナルト」も「ワンピース」も全く知らないのですけれどね…。


今回の特別企画展は9月29日で終了ということですけれど、
むしろオリンピックを見に来た外国人客に見せたとしたら、
さぞ喜ぶ内容なのではなかろうかなとも思ったものでありました。