「土は水を得て形となり火を通してやきものになる」
こんな言葉がINAXライブミュージアム
内の「ものづくり工房」なる建物で見かけました。
蓋し名言!というほどのことでなく、さりげなく「なるほどね」と思うわけですが、
やきものといって土と火はすぐに浮かびますが、そりゃあ水も関わっているわいなあと。
そんな関係があってのことでしょう、同じ敷地内の「土・どろんこ館」企画展示室では
「水を見る 秘めたるかたちと無限のちから」という展示が見られましたですよ。
見極め難い「水」の形とそのちからを視覚的に捉えられるように、
子どもにも分かりやすいようにという工夫が見られる内容で、
入口からしてこんな具合です。
あたかも水流に飲み込まれるか?…といった映像ですけれど、
裏側に回るとこうした渦巻きは簡単な器具で再現できることを教えてくれるのですな。
空のペットボトルをふたつ用意し、片方にほどほどの水を入れ、
飲み口部分を二つ合わせてしっかり固定。
あとは水の入った側を上にして持ち、手首をぐるんぐるん振るわせると
ペットボトルの渦潮の出来上がりというわけです。
で、こんなふうに生み出された水流がいったい何だっつうの?と思えば、
そこはそれやはりINAX(?)、トイレの節水の話になるのでありますよ。
説明にはこんなふうにありました。
…1973年の水洗トイレでは、16リットルの水を使って流していましたが、最新の製品では4リットルの水だけで流すことができます。…かつてのトイレの水流は一方向にのみ単純に流れるものでしたが、今は鉢の内側を覆うような面をつくって流れています。流れる水の体積としては減っていますが、流れる表面積が大きくまた流れが速くなり、少量の水でも洗い流せるように進化させてきました。
電気製品は新製品ほど消費電力が少なくなったりすると言われますけれど、
トイレも新しいほど節水仕様だったとは。
壊れないからと古いままでは余分な水道料金を払っているのかも…。
ということで、「水」にまつわるあれこれの展示解説の中で
ちょいと気にとまったところをいくつか触れておこうかと思う次第です。
まずは、水の性質のひとつであるという「表面張力」のこと。
水のひとしずくが落ちるときにあの(誰でもイメージできる)形になるのは
表面張力が働いているからということのようで。
水の分子はお互いに引っ張り合ってまとまろうする力が働いるそうなんですが、
それが視覚的に分かるのがコップの上に盛り上がったときでしょうか。
ちなみにぽったんと落ちる水滴は誰でもイメージできる形、
「しずく型」といった形として確立していると思うところながら、その実、
雨は、雨の一粒一粒はどうか?となると、やっぱりしずく型でしょうと思うのが
普通ではなかろうかと。それがどうやら違うのですなあ。
空気の抵抗が掛かるため、平べったくなるというのが本当のところのようでありますよ。
ただ、そんなふうに人間の目で捉えようもないだろうに…と思っていたところ、
「この人は、4000~5000分の一の秒速で高速撮影した画像を捉えていたのか?!」という
画家がいるそうな。果たして葛飾北斎
でして、「神奈川沖浪裏」に見る波涛の、
波がしらの描写はまさに高速撮影画像に似ていると言われているのだそうでありますよ。
と、こちらは透明の長い管の片方を持ち上げて降ろす。
管の中にできた波が行っては戻り、来ては返す…波発生の実験器ですな。
「波」の説明が、なんとなく微笑ましい?表現だったので、ちとここに。
波は、風や物によって押し下げられた水面が戻ろうとしたときに「勢い余って」元よりも高く盛り上がってしまい、重力によって引かれて下がりますが、これまた「勢い余って」下がりすぎ…ということの繰り返しで起こります。
何回やってもほどほどのところに納まらず、強すぎたり弱すぎたり…。
何というでなく物事にはありそうなことですけれど、
まあ、慌てず騒がず波のように自然体で臨めば、そのうちほどほどになりましょうかね。
自然にこそ学ぶこと多かれということですなあ(笑)。