南阿波の海岸沿い を走り抜けて高知県に入りまして、
一路目指すは室戸岬であったわけですがどうにも雨脚はおさまらず仕舞い。
本日の締めくくりは岬の手前にある室戸世界ジオパークセンターとしたのでありました。


室戸世界ジオパークセンター

そもジオパークとは?を日本ジオパークネットワークのHPに見てみますと、
このようなことで。

ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所をいいます。大地(ジオ)の上に広がる、動植物や生態系(エコ)の中で、私たち人(ヒト)は生活し、文化や産業などを築き、歴史を育んでいます。ジオパークでは、これらの「ジオ」「エコ」「ヒト」の3つの要素のつながりを楽しく知ることができます。

日本では日本ジオパーク委員会によって44地域が認定されておりまして(2018年9月現在)、
先に訪ねた銚子 などもそのひとつになっているわけですが、室戸の場合はユネスコ認定、
ですので「世界ジオパーク」と少々格上の名称になっておるのですなあ。
(ちなみに日本ジオパーク44カ所のうち、世界ジオパークは9つだけです)


室戸世界ジオパークセンターの館内

センターの館内にはタモリが大好きそうな地質ネタ満載の展示解説がなされているのですね。
例えば室戸の大地は盛り上がり続けているとして、このような説明が。

海のプレートが陸のプレートにぶつかり押し続けることによって、室戸の大地は絶えず力を受けています。その力は地震を起こし、大地を押し上げます。このために室戸の大地は平均約2m/千年という驚異的な速さで盛り上がり、海成段丘に代表される隆起地形を随所で見ることができるのです。

確かにいちばん上の写真で見られますとおり、

このセンターの建物は海岸線につづく低地に建てられているものの、
建物のすぐ裏は盛り上がった丘陵地になっておりますね。
これが海成段丘のようなのですなあ(これまで河岸段丘というのは聞いたことがありましたが)。


で、大地が盛り上がり続けているとなりますと、
昔々の地層が地表に露出しているのではと想像するわけでして、解説はこのように続きます。

室戸の大地の大部分は、約5000万~1600万年前に深海に積もった地層でできています。海のプレート上の堆積物がプレート運動によって次々と運ばれ、南海トラフでその一部が陸のプレートに付け加わってできた付加体です。…海では南海トラフで今も付加体が生まれ続けています。

その付加体なるものがじわじわと陸に押し寄せてくる。つど大地は盛り上がっていく。
ですがそのとき、きれいに均一に盛り上がっていくわけでありませんから、
力のかかり方によって地層はねじ曲がったり、立ち上がったりして地表に姿を現すわけで、
室戸岬にはそうした地球の活動の証拠とも考えられる地層を見せるものがたんとあるのだと、
まあ、かようなわけで世界ジオパークとなっているのですな。


ところで室戸岬といいますと、空海が修行した場所としても有名(らしい)ですね。
大自然と対峙して悟りを開くてなことになるのではないかと思いますけれど、
その修行の地として伝わる場所もやはり室戸が隆起し続けていることと関わりがあるそうな。


古文書によれば「空海修行の地」には三つの説があるそうですが、
そのいずれもが海水の侵食でできた海食洞であると言います。
いかにも籠って修行する姿を思い描きやすい見た目と同時に、
ひんやりと、またキンとした空気がこれまたいかにもと思われたことでしょう(と想像です)。



その場所が明らかにパワースポットであるかどうかとは別に、
ヒトにはその場所に何かを感じる(気がする)という本能的な感覚のようなものを
持っていますから、室戸岬にはそうした感覚にさせる地形がたくさんあるのでしょう、きっと。


翌日になって雨がおさまっておれば、

やはり立ち寄っておくべきであろうとの思いを新たにしたのでありました。