かつての高尾山は東京の小学生が遠足で出かける場所以外の何ものでもなかったような。

山としては599m(以前は600mと言われていた)という低山であり、

また東京の田舎という、高度成長期の見方からすれば中途半端であり、

「高尾山、けっ!」という空気が多分に横溢していたのではなかったですかね。


いかに京王電鉄がテコ入れしても集客が思わしくなかったのか、

ついにはトリックアート美術館という、そこでなくてはならない理由が全く見当たらない施設が

登場したことからも、当時の高尾山に対する見方を想像することができようかと。


そのトリックアート美術館が21年目であるという。

21年前には藁にもすがる思いであったかもしれないと思い返す一方、

その21年の間にはどうしたことかミシュランで注目され、

それ以来は千客万来のうはうは状態が続いているというのですから、

世の中何がどうなるか、分からないものですなあ。


高尾山口駅前の喧騒

昨日の京王線高尾山口駅前はこんな具合。

電車が到着するたびに多くの人が改札口からはきだされ、

ある人たちは待ち合わせなのか駅前に停滞し、

ある人たちはそそくさと登山口へと向かっていく。


それが列をなしてハイキングコースの1号路(薬王院n表参道)登り口から延々山頂まで続き、

山頂はハロウィンのハチ公前交差点…とは極端に過ぎるとしても

おおむねそのような感じだったのですなあ。


ある程度想像がついておりましたので、個人的にはこのところ近寄ってなかったですが、

埼玉県に住まう友人(埼玉県の小学生は高尾山に遠足で来ることは無いらしい…)が

「高尾山に行ったことがない」とつぶやいたことから、では案内してさしあげるかいねと

同行することになった次第でありました。


ですが、紅葉シーズンに決行したのはやはり失敗というべきか。

山歩きの風情といいますか、そんなものはまるでありませんでしたなあ。


日本人も外国人も(実に多国籍なようすでありましたよ)、

大人も子供も、そしてベビーカーを押して登る人、犬を連れて登る人、

山行らしい姿かたちの人、渋谷に行く恰好と変わりの無い人、

いやあ、実にさまざまで混んでる、混んでる。


まあ、友人にとってひとつのポイントは

山頂から富士山の眺望が得られるかどうかだったですが、

幸いにしてこのような眺めでありましたよ。


高尾山頂より望む富士山

ではありますが山頂広場に落ち着ける場所はなく、

下りの経路に(予定していた6号路はしばし登り専用コースになっていたものですから)

4号路をとって、どこかしらで昼食にできないかと思いつつ下ってきたのでありますよ。


結果的にはほぼ下りきるまでもう一息という金比羅台園地(東京方面の眺望あり)まで来て

ようやっと落ち着ける場所を確保でき、久しぶりに山用コンロを活躍させたのでありました。



とまあ、なんだかんだと混みように「あ~あ」と思っていたりするわけですが、

登山道のあちこちで付け替えがあったり整備が進められたりしているのを見て

これも客が増えたからなんだろうなあ…と踏んでおったところながら、

実はそればかりではなさそうですね。



4号路を下っているときですが、かように巨木がなぎ倒された痕を発見。

おそらくはですが、先に暴風を伴って通り過ぎた台風のせいでもありましょうか。



傍らの谷側には取り敢えず道をふさがぬよう応急処置されたと思しき倒木が

うっちゃっておかれてありましたですよ。これなど相当に年輪を重ねた木のはずですが…。


そんなようすも見て思うのは、高尾山はやっぱり山なのですよねえ。

「低いからけっ!」みたいに捉えられていたてなことも言いましたですが、

舐めては痛い目に遭うことになるかも。


どんな痛い目であるかは不明ながら、山中で一度、ケーブルカーの登り口広場で一度、

救急車がけが人だか病人だかを運んでいくのを見かけました。

装備にしても服装にしても油断は禁物ですよね、やっぱり山なのですから。

(ちなみに友人には言い含めていましたので、ザックと靴を登山用品店で新調してました。笑)