ふとニュースサイトで出くわした記事を見て
「やっぱり偶然が左右することは多いものだなぁ…」と思ったり。
鳥山明という漫画家をデビューの頃から知る編集者が語ったことでしたけれど、
流し読みでうろ覚え部分が多いのはどうぞご容赦を。
ともかく「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール」で世界的に?その名の知られた漫画家ながら、
(といって、他にどんな作品があるのか、まして「ドラゴンボール」は読んだことがないですが)
どうやら端から漫画家になろうという思惑では無かったようですな。
絵は上手だったでしょうから、イラストレーターか何かを望んでいたのだったかも。
ですがなかなかに食っていくのは難しく、
ふと手にとった「少年マガジン」で見かけた新人賞募集の広告に心動かす。
まあ、手早く賞金が手に入る(この段階では「とらぬ狸の皮算用」ですけどね)手段として
食いつく気になったのでありましょう。
ところが、「マガジン」の新人賞募集は年1回だか2回だかでどうにもタイミングが悪い。
とりあえずの手元不如意を解消しなくてはならなかったのでしょうな。
そこで違う漫画誌に目を向けると「おお、ジャンプの新人賞募集は毎月でないか」という
発見をするのですな、たまたま。
気をよくして応募したろ!と思うわけですが、
ストーリー漫画部門とギャグ漫画部門というのがあって「さて、どちらにしたものか」。
個人的には「Dr.スランプ」の印象で考える限りギャグ漫画の範疇で、
どちらかといえば作家にそちら方向の指向性があるものと思ったりするところながら、
ストーリー漫画とギャグ漫画のどちらかを選ぶ決め手は原稿枚数の差であったそうな。
小説の公募でも原稿用紙換算で100枚以上とか500枚以内とかいう条件が
つけられたりしますが、それと同じようなものですね。
で、ギャグ漫画部門であればストーリー漫画部門の半分の枚数で
応募ができるということに気付いたところからギャグ漫画を描こうということに。
応募作は入賞しなかったものの、目をとめた編集者がおり二人三脚の作品作りが始まる。
そして、やおら大ヒット作となる「Dr.スランプ」が誕生するのですな。
初回が掲載された「ジャンプ」を読んだ記憶があるのですけれど、
その後のアニメ「Dr.スランプ アラレちゃん」と異なり、タイトルはあくまで「Dr.スランプ」。
つまりはマッドサイエンティスト的な則巻千兵衛が主人公と受け止めたですが、
その後にはどんどん対象年齢が下降していった気がしたものです。
実際、作者自身の思いもまさにタイトルどおりであったようで、
当初の想定では初回で則巻博士が作るアンドロイド「則巻アラレ」は
後の回には登場しないはずであったというのでありますよ。
ですが、これには編集者との駆け引きがあって、
「Dr.スランプ」掲載前に女の子を主人公にした読み切りを載せ、
これの評判が良かったら「Dr.スランプ」は則巻アラレを押しで行こうと編集者が言い、
作者の方では博士を主人公で行きたいとの思いもあって、さほどの評判にならぬ方に賭けた。
結果はその後の展開で明らかなように、作者は賭けに負けてしまったわけですけれど、
作者としてのこだわりは漫画連載のタイトルを「Dr.スランプ」ままで通したことでしょうか。
と、長々と流し読みのネット記事を引っ張ってきましたけれど、
どの部分をとっても偶然がものを言っているような気がしますですね。
そういう言い方をしてしまいますと何やら運命論者めいてしまいますが、
そうでもないのですけどね。
とにかくこれだけ偶然に取り巻かれているかと思いますと、
何かをやるかやらぬかといったことで惑い、
やらなかったから後悔するとか、やってしまったから後悔するとか、
そういうことはまあどうでもいいことのような気がしてもきたり。
世の中では「やらずに後悔するよりもやって後悔した方がいい」てな言い方もされますが、
どちらにしても後悔がついて回るのであれば、同じことではありませんかね。
要するにどちらにしても「後悔」ということ自体を考えないようにするのが最上なのかなと。
いささか話がずれてきているかもですが、
まったくもって大したことではないながら「やるか、やらぬか」迷っていることに
「やらない」という結論を出そうとしている現実があるものですから
こんな話になってしまったのかもしれませんですね。
結局のところ言いたいことはと言いますれば、
世の中というものは本人がどうするかということに関わらずに動いている世界で、
良かれ悪しかれそれに左右されるという現実もあるということ。
だからと言って、自らが選択的に何もしないというのではなく
やることはやる、やらないことはやらないとして、いずれをとったとしても
後悔するなどと考えても仕方がないですし、後悔自体を考えない。
自分ができているかといえば怪しいものですが、要するにそういうことなのでありますよ。