秩父・羊山公園武甲山資料館やまとーあーとみゅーじあむ を訪ねた後は
西武秩父駅に戻ってバスを待ち、宿泊先へと向かったわけでして。


西武秩父駅前の小鹿野町営バス

小鹿野町営バスで山間を抜けながら、移動すること50分ほど。
到着した今宵の宿は小鹿野町営国民宿舎両神荘というところでありました。
もしかしたら国民宿舎というものに宿泊するのは初めてのことだったかもですねえ。


小鹿野町営国民宿舎両神荘

しかしまあ、何故ここに?ということからすれば、連休の間にも関わらず
空いていてしかもリーズナブルな料金であったということに尽きましょうかね。
宿の印象からすると、グラウンドを備えているところからしても、基本的には
スポーツ合宿などに向く施設と言えるのではなかろうかと。


すが、強アルカリ性のつるっつるする温泉は心地よく、
宴会食の方は陶板焼き、煮物、焼き魚などがほどほどに並んだほか、
サラダや小鉢系のおかずはバイキング形式でという合わせ技だったのは
人それぞれに応じた食べ方ができるので、いい感じでありましたよ。


ところで、この宿のすぐお隣には実に唐突な印象ながら、
かような建物があるのですね。


もはや閉館した埼玉県山西省友好記念館


人里離れたとは言いすぎですが、結構奥まった土地柄にこの建物とは
もしかして新興宗教の本殿でもあろうか…と思ったところが、この看板を見て
「そういえばニュースか何かで閉館というのを聞いたことがあったな」と。


「神怡館」の案内板

埼玉県山西省友好記念館、愛称「神怡館(しんいかん)」という建物、
なんでも埼玉県と中国・山西省とは友好提携しているらしく、
例えば山西大学への奨学生派遣などを行っているようなんですが、
そうした関係の10周年を記念した1992年に建てられ、
山西省から提供を受けた文物を展示していたのだそうな。


ですが客は入らずコストはかかる…と持て余され、結果として今年2018年3月に
閉館となったことは確かニュース(もちろん関東ローカルですが)でも
伝えられたところでありました。


しかしまあ、この大きな施設を何故にこの場所に作ったのかでありますなあ。
地域の観光振興として、場所があるからと誘致されたのかもしれませんが、
採算を考えれば最初から無理があったのではとも思えるところです。


国民宿舎のお隣ですから宿泊客は試しに覗いてみることはありましょうけれど、
(実際、存続していたならばおそらく入館してみたと思います)
わざわざここを訪ねるためにここまでとはなりにくいところではなかろうかと。


9月半ばの連休時、西武秩父駅前に人はわんさかいたものの、
札所めぐりをしたり、SLに乗ったり、長瀞を訪ねたりと
旅の楽しみはそれぞれある中で敢えて中国の文物を訪ねるという選択の

プライオリティはかなり低いでしょうから。


気になるのは今後のことでして、建物の外観からして転用に馴染むかどうか。
だからといって、これを壊すにも相当な費用が掛かりそう。
となれば、廃墟への道をひた進むことになりましょうか。


世の中には廃墟マニアなる人たちもいるようですので、放置することで
お隣の国民宿舎が廃墟マニアの定宿になる…てな算段は
あまり喜べた話ではないですよね。
果たしてどうなって行くことでありましょうかねえ。