全く予備知識なく「プリンス・オブ・ペルシャ」という映画を見たのでして、
てっきり歴史ものと思い込んでおりましたら、要するにファンタジーだったのですなあ。


プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 [DVD]/アルフレッド・モリーナ


言ってみれば冒険活劇ファンタジーとでもいいますかね、ただ作品創造の分野でいいますと、

「ハイ・ファンタジー」と「ロー・ファンタジー」という区分けがあるのだとか。

ちとその違いは一説によればこのような。Wikipediaから引いてみます。

ハイ・ファンタジーは異世界そのものを舞台とする。ロー・ファンタジーは現実世界を舞台として本来現実には存在しない異世界の住民や魔法が登場する。

この説に従いますれば、例えば「指輪物語」のようなものがハイ・ファンタジーであり、

今回映画で見た「プリンス・オブ・ペルシャ」のような類いはロー・ファンタジーということに

なるわけですなあ。


どちら方が偉いということもないですが、「ハイ」と「ロー」という言葉を用いるがための

上下的イメージはついてしまいそうではありますね。

つまり、舞台となる異世界そのものをも創造する(現実を借りない)点で

より高次の雰囲気をまとっていたりするというか。


ですが、「プリンス・オブ・ペルシャ」はロー・ファンタジーらしく

古代ペルシャをイメージしているようすながら、時代考証はあまり気にしていないのでは。

そうであるならばむしろ変に「ペルシャ」を借り受けるのではなくして、

独自の舞台設定にしてしまったらどうであったろうと思ったりしたわけです。


とまれ、一応舞台は古代ペルシャであるということをもはや忘れて、

ストーリーに向き合いますと、この手の話というのは過去の作品から部分部分を抜き出して

新たに仕立て直した、いわばレゴ・ブロックの決まった形のパーツを組み直して

全く新しい見た目に作り上げるような形と言えましょうかね。

よく見れば、ひとつひとつは「ああ、レゴのブロックだあね」と。


ではどんなようなところが…という点をほいほい取り上げるとネタバレですので、

冒頭部分にだけ触れてみますと、このようなあたりでありましょうか。


あるとき市場で勇敢なふるまいをした少年に目をとめた王が

この孤児の少年ダスタンを王宮に連れ帰り、王子と同様に扱って育てるのですな。

で、本当の王子よりもダスタンの方が出来がいい…となりますと、こりゃあもう

映画「十戒」にみるラムセス王子とモーゼのようではありませんか。

また王が二人の本当の王子とダスタンとに説いて曰く「三人の結束が大事じゃよ」とは

毛利元就の「三本の矢」の教えのようではなかろうかと。

(西洋世界に類似のエピソードがあるのかはわかりませんけれど)


まあ、例として適当かどうかはともかくも、どこから聞いたことのある、

このような部分部分が汲み上げられて全体の話を構成している思えたわけで、

考えてみればこうしたことは何も「プリンス・オブ・ペルシャ」ばかりの話では

ありませんでしょうなあ(この話に取り分けそうした成分が多いとしても)。


とすればファンタジーというものは、ある程度のバラエティーに富んだパーツを

自らの引き出しの中に持っている人であれば、そのパーツをうまいことを組み合わせることで

新しい作品を生み出せることになる。それこそ、あなたにもわたしにも。


そうはいっても、パーツが似ているだけならまだしも、

全体を通して既存作品とそっくりではお話になりませんから熟考、推敲は必要になる。

ま、定年にでもなったらやってみますかねえ(笑)。




すっかり話がまとまりを欠いたところで何ですが、明日はちとお休みいたします。

秋はまだほんの入り口ながら、早速温泉につかってまいろうかと思っておりまして。