岡山から松江への移動は伯備線経由の特急やくもでありましたですが、この伯備線は
先日の集中豪雨で一部区間が復旧にひと月以上かかりそうと大きな被害を受けたようす。
返す返すもこの区間の利用が一週間早くて助かったなと改めて思うところです。
ところで特急やくもの車両ですけれど、座席は普通の列車同様に
基本的には真ん中に通路を挟んで左右に2列ずつ並んでいるわけですけれど、
途中にぽつんぽつんと窓側に座席の無い、通路側1席という列があるのですなあ。
その列にあたる部分には窓側壁面に車内側へのでっぱりがあって
どうやら一席を設けるまでのスペースが取れないようでして。
かといって、通路側座席では周囲の空間に妙なすかすか感があるものですから、
居心地がいいものやら悪いものやら…というのも、まさにその席に座っていたのでした。
しかしながら何故にかようなことになっておるかということを想像すれば、
かつてはもっとシートピッチを詰めて座席がたくさん並んでいる仕様だったのでしょう。
それを「特急車両としてはもそっとピッチを開けんととても特急料金を取れんなあ」と
JR西日本が考えたかどうかは分りませんけれど、少々ゆったりのシートピッチに変えて
座席を配置したのでしょう。
ですが、車両の途中途中には壁面からいささかのでっぱりがあり、
かつてきつきつのシート配置でならばうまく収まったものがピッチを変えると収まり悪く、
やむなくでっぱり部分にあたる列には通路側席しか設けないという決断に
至ったのではなかろうかと。
ま、そんな推測が当たっているかどうかは分りませんが、
真ん中通路に対して左右の座席部分がいささか持ちあがって一段高くなっているという構造も、
かつてびっしりあったシートを外した跡を隠すためにそんなふうになっているのではと
思うところでありますよ。
とまれ、妙なすかすか感を抱きつつ通路側のみ座席に座って、
岡山・松江間を移動したわけですが、この列車は381系という振り子式の特急らしいですなあ。
中国山地を抜けるということで、カーブの多い山間部でも高速性を確保するため、
カーブ通過時の遠心力に負けないよう車体の上部が振り子のように振れるところから
かように呼ばれるのでありましょう。
走行上の問題にはひとつの解決を提示したのかもしれませんですが、
難点はカーブのたびに振れる車両内にいる乗客に乗り物酔いが出たりすることでしょうか。
実際、このときの出張でこの区間の同行者からはそんな声も聞かれましたですよ。
個人的には確かに揺れてはいたけれど…と、鈍感ぶりを示してしまいましたが(笑)。
と、中国山地を抜けてあたりが広々としてきますと、やおら車掌のアナウンスが。
「右手後方には伯耆大山が見えております。大山は今年開山1300年を迎え…」と、
観光ガイドのような紹介が行われたのでありました。
JRの車内でかような観光ガイドには接したことがないものですから
珍しいなと思ったのですけれど、ついでにアナウンスでも一つ思い出したことを。
駅にほどなく到着というときのお知らせでありまして。例えばですが、
「次は新見、新見。姫新線はお乗り換えです。今度の姫新線は○時○分、◇番乗り場です」。
この案内に「おや?」と思うかどうかは慣れの問題ですかね。
何がといってJR東日本や他の東京の私鉄では電車の「乗り場」とは言わないものですから。
ほぼ間違いなく「○番線」あるいは「○番線ホーム」というような言い方をしているような。
「○番乗り場」と聞くと「バスかな…?」と思ってしまうわけで、おそらくは普段から
JR西日本を利用されている方は感覚的に、ここで何を言いたいのかが分からないくらいに
馴染んだ言い回しかもしれませんけれど。
とまあ、振り子特急に揺られること3時間弱、島根県は松江に到着いたしました。
これで島根県に降り立ったことで、47都道府県のうち未踏の地は残り6県となったのでありますよ。