通勤電車のドア上モニターを見るともなしに見ておりますと、

物識りクイズ的にこんな問題が出されていたのですね。

「ハンカチを正方形に決めたのは誰か?」という問いです。


答は持ち合わせておりませんでしたけれど、

確かにハンカチは正方形であるが、その正方形であるという常識?に疑問を持って

そんなふうに決めたのは誰かと考えることの方が興味深い気もしましたなあ。

常識だという思い込みこそ、常識知らずだったりしますですからねえ。


と、それはともかく先の問いの答えはと言いますと、

ドア上モニターに示された答えに曰く「ルイ16世」であると。

ただ、解説としては王妃マリー・アントワネットに頼まれて布告を出したからとなりますと、

ルイ16世がというよりもマリー・アントワネットが決めた張本人ではないかと思うところです。


実際、このエピソードは有名らしく、ネット上のそこここに

「ハンカチを正方形に決めたのはマリー・アントワネット」と書かれているのが見つかります。

ですが、それはそうだとして「マリー・アントワネットがなぜ正方形に決めさせたのか?」が

気になるところでありますね。


当時はロココ趣味の全盛期で何につけ贅を凝らし、美を競う風潮があったとは

想像に難くないところですが、ハンカチひとつにもそうした競い合いがあったのか、

形も丸いのがあったり、三角形のものがあったりとさまざまだったようす。


これをマリー・アントワネットが「正方形」のみに定めさせたわけですが、

その理由としてネット上に多くみられるのが、マリー・アントワネットはハンカチに

いろんな形があるのを煩わしく思ったという説なんですなあ。


「なぜ煩わしく思ったのか」ということに関しては、

「それは詳らかになっていないが…」と付記されているのはまだいい方で

多くの記述は単にマリー・アントワネットが煩わしく思ったという理由で

ハンカチが四角に定められたというばかり。


ですが、これって俄かにすとんとは落ちにくい話ではありませんでしょうか。

だいたいマリー・アントワネットはおしゃれ好きで

誰にも負けたくないくらいの思いでいるタイプなんじゃあないかと想像するにつけ、

ハンカチの形にあれこれあるのが煩わしいなどという思いよりも

率先して「独創的なデザインを持って来なさい、見てあげるから」くらいの勢いだったのではと。


そんなふうに思うだけに、ネット上で目にするハンカチとマリー・アントワネットの記述の中で

「(アントワネットは)自分だけが長方形や三角形など色んな形のハンカチを持ちたかった」、

だから他の者たちは正方形しか持ってはいけないという王令を出させた…という説明を発見。

さらっと見たところでは、同じ理由の記述は見かけませんでしたので、少数派意見かもですし、

また根拠は定かでないところですけれど、こちらの説明だと「分かるなあ」と思ってしまいますね。


まあ、思い描いているマリー・アントワネット像がそもそも思い込みであるかもしれませんから、

本当はハンカチにあれこれの形があるのを煩わしい思うような人物でなかったとは言い切れない。

それでも、言われたことがすとんと落ちないときには、

鵜呑みにしないだけの「おや?」を常日頃から持っていたいものだあねと、

ひょんなことから考えたという、通勤時間のひとコマでありました。