CSで見るBBCの放送は基本的にはニュースなのですけれど、
先日見た「よみがえるチャールズ1世の美術コレクション 」のようなドキュメンタリーとか
教養番組的なものがたまに放送されているようですね。
放送回によって日本語字幕が付くものと同時通訳が入るものとがあったりするようで、
字幕の場合には字数制限のせいでしょうけれど、かなり掻い摘んだ情報になってるなと思う一方、
同時通訳は情報量が多いものの何とも聴いていてせわしない、せわしない。
一長一短だなあと思うところです。
と、ここではそうした翻訳の話ではありませんで、
やはりBBCで「バッカスの真実」という番組を見たということ。
「ふ~ん」と思ったものですから。
個人的には「バッカス」という言葉を初めて知ったのはマンガの「鉄人28号」でしょうか。
敵方のロボットにバッカスという名が与えられていたのではなかったかと。
次いではロッテのバッカス・チョコレートでありましょうねえ。
これにはお酒が入っているので、子供が食べてはいけない。
ですが、してはいけないということをしたくなるのが子供ですから、
そんな遠い存在のバッカス・チョコレートはかなり印象に残る存在であったわけです。
ロボットはともかくも、チョコレートを通じて?バッカスとはお酒の神様であると
認識していったわけですが、このお酒の神様、古代にはたいそう人気があったようですな。
飲めや歌えやのバッカス神のお祭りは
今でも昔のままに受け継がれているものがあるようで。
とはいえ、あまりの乱痴気騒ぎが展開するので、
古代ローマでは何度も度が過ぎないようお触れが出されたようでもありますよ。
ところで、ローマ神話のバッカスはギリシア神話のディオニュソスであるとは知られたところ。
ですが、古代ギリシアの劇作家エウリピデスには「バッコイ(バッカスの信女)」という戯曲が
あるというのですね。
ということは、古代ローマに先行する古代ギリシアですでにして
ディオニュソスの別名としてバッカスがあったということになりましょうか。
それをローマ神話では自らの神の名として持ってきたというなのでありましょうかね。
とまれ、その後のローマではキリスト教との拮抗が始まるのですけれど、
バッカス神とイエス・キリストが実は似た存在であるというのですなあ。
水とワインに代える(考えてみればバッカスっぽい)とか、
それよりもそもそも神を父に、人間を母に持つとか、どちらも復活を遂げるとか。
とある遺跡にあるモザイク画では、いかにも見てくれがイエスの誕生に際して
東方三博士が礼拝しているといった図像ながら、画面を構成する人物像の多くには
わざわざローマ神話の神々の名が記されているものがあるそうです。
もちろん、幼子として描かれているのがバッカスだということで。
なんだかこうしてみてくると、やはり後発のキリスト教がバッカス神の人気にあやかって
その要素を取り入れたようにも思えてこようかと。
ただ乱痴気騒ぎの神様というのでは具合が悪く、
違いを鮮明にはしなければならなかったでしょうけれど。
古代文明は人の往来によってどんどん混合していったことと思われますが、
別ものと思えるものが実は同じルーツからなんつうことは、たくさんあるのでしょうねえ。