時折「こういう言葉の使い方はどうよ?」的なことを書いてしまいますが、
「おや?」という表現に行き当たってしまうものですから…。
以前にも通勤途上のラーメン店で、
開店前の店先に「がんばって仕込み中」という看板があるのを見て
ついつい食いついてしまったことがありました。
食いついたといってやおらラーメンを食したという話ではありませんで、
またこのことを書いたのは別ブログに一時引っ越ししているときでしたので
多少の繰り返しはあってもよかろうと思うところですが、
要するに「仕込み」って頑張ってするものであろうか?…ということでありました。
改めて辞書に当たれば「頑張る」本来の意味は
「困難にめげないで我慢してやり抜く」というのが第一の語釈に載っている。
翻ってラーメン屋さんの仕込みというのは、そうした類いのことなのであろうかというわけです。
「はりきって仕込み中」なのであれば、お客向けに威勢のいいアピールとも思えますが。
まあ、そんな具合にそこかしこでちょこちょこ引っかかってしまうのですけれど、
今回は自宅のすぐ近所で見かけた幟旗に「ん!」と。
長らく高齢の方がお一人で住んでいたところなんですが、
どうやら別に住まうお子さん方と同居でもされることになったか、
かつてのお宅は取り壊され、更地になった後、新しい家が建てられて新築住宅となり
「好評分譲中」というわけでありますね。
ですがこれに「ん!」と思いましたのは、ここに建てられた家は一軒だけなのですよ。
つまりは「好評」であるならとうに売れてしまっているのではなかろうか。
逆に一軒だけの家が売れていないのは「好評」ではないからなのではなかろうかと。
看板に偽りありですなあ(笑)。
多摩地域にはまだまだ大きな畑地がありまして、
近年はこれを切り売りして部分的に幾棟かの戸建て住宅に変貌することがままある。
こうした場合に、幾区画かのうちには売れてしまったものも出始めて、
残りも早くしないと売れてしまうかもよと告知するのが「好評分譲中」の幟旗でありましょう。
そうした本来的な告知の意味合いをあまり考えることなしに、
一軒だけの新築住宅売り出しを告知するのにも同じ幟旗を使ってしまったのでしょうなあ。
もっともそんなことを気に掛ける者はそうそうおらないことでしょう。
けれど、ここには一人いる…。どうにも言葉にこだわってしまうものが。
しかしなんですなあ、巷にあふれる言葉を前にして、
何かと目を瞠り、耳を欹ててしまう性分というのは、いやはや疲れるものでありますよ(苦笑)。