雨模様のブルッヘ (ブルージュ)で屋内施設を中心に
あれこれ見て回ったことを書いてきてますが、ここらで一度目先を変えて食事のお話を。
といってもすでに10月に入っておりますのに、
この旅のまだ二日目(実際には8月30日)のことを書いている段階ですので、
これもあれもという名物料理の話になるわけではありませんですが、とりあえず。
前の晩、すなわちブリュッセル空港 に到着後に列車でブルッヘに移動し、
ホテルにチェックインした晩ということになりますが、長い長い移動の果てということもあり、
ホテルからほど近いザント広場の一角にあるブラスリーで軽く晩飯という具合。
もはや一目瞭然のコロッケでして、「晩飯、これだけ?」の感無きにしも非ずですが、
バスケットでたっぷりとパンが出てきますので、ほどほどの量には十分ですな。
ちなみに本当の名物としてはエビの入ったもののようですが、
このときは気分でチーズ・コロッケとしたのでありました。
という具合に最初の晩を軽く済ませておりましたので、二日目の晩はちと気負ってしまうわけで。
どうやら日本語ガイドブックにも載っているようですけれど、
フランデレンの料理を食せるレストランをホテル近くで見つけ出し出向いた次第です。
観光客の行き来で賑わう道からひょうと裏路地に踏み込むと静かなものでして、
そんなおちついたところにレストラン「De Vlaamsche Pot」はありました。
「Vlaamsch」が「フランデレン(フランドル)の」に当たりますので
「フランデレンのなべ」とでもいうのが店名になっているのですな。
外観にたがわず古い家屋を居抜きの状態で使ったふうの店内がまた落ち着いていて。
そういうレストランでオーダーしましたのは店の名にぴったりな煮込み料理。
奥の小なべにたっぷり入ったものが「stoofvlees op z'n vlaams」。日本語にすれば
「牛肉のビール煮込みフランドル風」(フランデレンでは日本語で聞きなれないでしょうから)。
一般に料理としては「カルボナード」、「カルボナード・フラマンド」と呼ばれるようですが、
これはフランス語なのですよねえ。
これまで何度も触れたようにフランデレンの人たちの心中を察すれば、
フランデレン語で「ストーフフレース(stoofvlees)」と呼んだ方がと思うところでありますよ。
ところで写真では小なべが遠めに写っていますので、
あまりぴんとこないかもですが、この量たるや大変なものでして。
たとえば日本でビーフシチューがこうした小なべで出たとして、
牛肉がころりころりと入っている印象かとも思うところが、
目の前に出てきたものの中には牛肉が「ゴッロゴロ!」入っているのですなあ。
これを手前のフライドポテト(実はこれ自体がベルギー名物ですが、この話は別途に)の
皿に取り分けて食する。その際に、なべの脇にある二つの小鉢のものを取り混ぜて、
食してもよいということらしい。
手前の小鉢は見た目のカロリーをさらに追加することもないと
手を出さなかったので、タルタルだったか何だか忘れてしまったのですけれど、
問題(?)は奥側の小鉢。これ、リンゴ・ジャムなのですね。
以前、スウェーデンに行ったときにウプサラの駅前で
ミートボールのイチゴ・ジャム添えを食したときに「こんなふうにして食べるんだねえ」と
思ったことがありますが、基本的に食事に甘味を求めないタイプとしては「?」という印象。
そうはいってもリンゴジャムを混ぜてストーフフレースを食べてみたですよ。
すると…何とも甘々になってしまって…。
以前、ブリュッセルの「ファルスタッフ」というガイドブックにもよく載っているお店で
カルボナード(ブリュッセルだけにフランス語でした)を食したときには
「うまいなあ、これ」と思ったものですから、この時も牛肉のビール煮込み再びと思ったですが、そもこちらのお店ではそもそも味付け自体がかなり甘目であるようす。
リンゴジャム無しでもそんなふうに思いましたし。
こうした味付けの源泉はビール煮込みのビールに何を使ったかということになりましょうか。
ご存知のようにベルギーは知る人ぞ知るビール大国で、その味わいの違いは千差万別ですから。
という、ビールのお話はやがてたんと登場させるとして、
今回は味わい的にちと合わずながらそれをぎりぎりまで食べつくして(結局残りましたが)、
ある意味、印象深くもあるフランデレン料理探訪となったのでありました。