ちょいと両親のところへ出かけており、しばしの無沙汰をいたしました。
両親の住まっておりますところ(といっても長らく自分も住んだわけですが)は
5階建ての5階で風通しがよい。それに今の我が家のような西日にさらされることもない。
当然にして自分んちにいるよりはしのぎやすかろうと思ったところが、
このところの暑さには敵いませんな(もっとも自宅におったら、さぞかしでしたろうけれど)。
とまれ、かような暑さを老齢夫婦はいかように過ごしておろうかと思いましたら、
とにかくTVが情報源という昔ながらの庶民感覚を持ち合わせているだけに、
「お年寄りが熱中症で亡くなりました。部屋ではエアコンも扇風機も使われておらず…」などと
ニュースでよく聞くのを反面教師にしてか、エアコンも扇風機もばんばん使っておるようす。
が、冷えているのは一室だけなので他の部屋との気温差が激しく、
そこを行き来しているものですから、時には「こんなんでれでいいんかいね?」と
思わなくもありませんが(笑)。
つまりはなかなか手放しで快適とはいかない中、土用の丑の日にはまだ早いですが、
少しは精をつけて乗り切ろうと「う」の付くものを食しにいくことに。
これは先日までやっていたNHK土曜時代ドラマ「みをつくし料理帖」の受け売りになりますけれど、
昔から土用の丑の日には「う」の付く食べ物を食すと縁起がいいという風習があったようで。
ところが、「ああ、だから『うなぎ』ね!」と思うのはちと早合点。
元来は「う」の付くものとして、梅干し、うどん、瓜などが想定されていたところへ、
もともと冬場が旬である「うなぎ」の売れ行きが落ちる夏にも「うなぎ」を食してもらいたいと
仕掛けた宣伝方法が「うなぎ」もまた「う」の付く食べ物として売り出すことだったらしい。
仕掛け人は平賀源内ともいわれているようでありますね。
これがいつの間にやら、土用に「う」の付くものという風習は忘れられても
土用に「うなぎ」とはしっかり定着しているのですから、
源内先生、夏になるたび、草葉の陰でにんまりしているのではありませんかね。
…と毎度おなじみに余談が長いですが、両親と「うなぎ」を食しに行くことに。
日本橋や神田あたりに出向けたうまいうなぎが食えると承知してはいるものの、
暑さが暑さで老人につらかろうと近所で済ませることにしたのですなあ。
まあ、見たところは「おお、うな重」となりますけれど、
某和食系ファミレスに頼ったのはやはり安直な手段であったなあと。
値段はそれなりでしたので、いささか期待過剰になっていたかもしれませんが、
どうもスーパーで買ってきたうなぎでもあらんか…という実状でしたものですから。
差し当たり両親は一応満足した(遠くまで行けないから諦めていたのかも)ようでしたけれど、
こちらにとっては多少の無理をしても日本橋まで連れ出せばよかったか…との後悔が。
まだまだ元気に見えますけれど、確実に歳をとっていっているだけに
どうせ食すならうまいものをと思うのが人情というものですものねえ。
つうことで、暑気払いには「う」の付くものといって、
下手にうなぎと拘ることはないというお話でもありました。

