ちょいと武蔵野美術大学 に立ち寄ったところ、民俗資料室ギャラリーでは
「だるまで巡るニッポン―日本全国だるまのかたち―」なる展覧会を開催中。
しばし以前には群馬県は高崎市の少林山達磨寺 に寄ったりして
いささかの達磨うんちくを仕入れていたりしたものですから、覗いてみたのでありますよ。
あこの民俗資料室ギャラリーでは前に「絵馬
」の展示を見たことがありますけれど、
ムサビは民俗資料の収集も相当量あるようで、だるまだけをとっても全国から集めた600点ほどが
収蔵されているそうでありますよ。
基本的には赤色で、この「赤」が魔除けの効力があるとされたことから
「信仰的・呪術的な役割を積極的に期待された時代もありました」というだるま。
今ではすっかり願掛けで片目を入れ、それが叶えばもう片方…という使い方ばかりになって、
取り分け選挙のときにばかり目立つ存在になってますけれど。
さりながら、この目を入れるというのが当たりまえのだるまの姿と思っておりますと、
目を入れずに売っているのはどうやら関東地方中心であると。
上は(関東では)お馴染みの高崎だるまです。
これが愛知県以西では、むしろ目を入れてあるのが特徴であるようす。
この名古屋張子・鉢巻達磨はそうした目の入っているだるまの代表選手でもあるそうな。
そうはいいつつ、後ろに控える小さめな鉢巻達磨は白眼になっていますな。
もしかして伝統的には目を入れていたものが、関東の願掛け目入れが普及して
目無しのニーズが高まったからなのかも。心なしか形も高崎だるまふうに見えますな。
ところで、だるまの体裁といえば基本的に「張り子」であろうと思ってしまうところながら、
だるまモティーフではいろんな形があるようで。例えば、凧です。
達磨大師が座禅を組んでいる姿を模した張り子のイメージからすれば、
左から2番目がもっともらしいわけですが、空に飛ばす凧の実用性から考えれば
いろんなバリエーションが出てくるのもむべなるかでありましょうか。
また、こちらは木地、つまり木製品のだるまですな。
こうなってきますとほとんど玩具の世界にも入り込んでしまった感があり、
「起き上がりこぼし」であり、「だるまおとし」でありという印象。
まあ、それほどに全国区で親しまれているキャラクター商品ということになりましょうかね。
そんな中で、だるまのバリエーションとしてはかなりポップだなと思え、
果たして伝統的な背景ありやなしやと思わせるのが、この新潟の三角達磨。
なんともいえぬ愛嬌があるではありませんか。
いやあ、ひと口にだるまといえど、お土地柄にもよりいろいろあるものですなあ。