TVで「バレエの饗宴2017 」を見ていてふと思ったですが、
華やかなのはソロの踊りや主役級のパ・ド・ドゥかなと思うところながら、
コール・ド・バレエ(群舞の踊り手たちをかように言うようですな)の方も見ものですな。
ただ、個人的には動きがぴったり合ってるかどうかにちと注目しすぎかもしれませんですが。
分かりやすくは(群舞とまではいえないのでしょうけれど)「白鳥の湖」の
「四羽の白鳥たちの踊り」(こういうのをパ・ド・カトルというのでしょうなあ)なんかで
四人の足さばきから上半身の動きまで、あたかもひとりの踊りをCGで四人つないで見せてるくらいに
ぴたりと揃った踊りになっておると「うおお!」と異常に興奮すると言いますか(笑)。
そんなことを思ったときにまたふと思いついたのは(藪から棒のようですが)歌舞伎の連獅子。
先に明治座で「月形半平太 」を見たときにおまけで(といってはなんですが)演じられた「三人連獅子」や
NHKの放送で見た「第38回俳優祭」で演じられた「石橋」の中に登場する獅子たちの姿に
「あ~あ」と思ったものですから。
獅子の毛振りは歌舞伎の大きな見せ場と言われますけれど、
ソロ・パフォーマンスとしてダイナミックに見せてくれるものは「なるほど見せ場やな」と思うものの、
これが明治座でのように三人(三頭?パ・ド・トロワですな)であったり、はたまた俳優祭でのように
舞台上のそこここでぶんぶん毛振られている(?)状況であったりしますと、
人数倍の興奮が巻き起こるかというと(そういう楽しみ方をされた方もおいでとは思いますが)
むしろ覚めてきてしまったのですなあ。
なぜといって、理屈は先の「四羽の白鳥たちの踊り」と同じでありまして、
獅子たちの毛振りがてんでばらばらの個人技になってしまっていたからなのでありますよ。
仮に「歌舞伎での獅子の毛振りはそういうものなのだ」としても、
見る側からしてみると、アンサンブルとして息もそろってあのぐるぐるが
同じタイミングで同じ軌跡を描いたとするならば、「すげえ!」という言葉しかでないような気がします。
獅子の毛振りは荒々しいことこそよけれとなれば「あれはあれ」でしょうし、もしかすると
俳優祭の方はお祭りならではの行き過ぎパフォーマンスだったのかもと思わないでもない。
ですが、これが個人技なのかアンサンブルなのかという点では
あくまで個人的な感想としてアンサンブルだと受け止めたものですから、
ちと違和感を抱いた…という次第。ま、連想に飛躍はあったかもしれませんけれど(笑)。
