一昨日はスタンプラリーの後に、
ドキュメンタリー映画「夢の間の世の中」の自主上映会に行って来たのですね。
いわゆる「袴田事件」はご存知の方も多いと思いますが、
その犯人とされて死刑判決が確定するも、袴田巖元被告人は冤罪であることを訴え続けて来た。
2014年3月27日、静岡地裁が再審の開始と同時に、死刑及び拘置の執行停止を決定、
映画はおよそ48年ぶりに釈放された同人の釈放後の日常を淡々と映し出しているという。
ドキュメンタリー映像の持つ「力」を久しぶりに、そして痛いほどに感じたのでありました。
現時点で釈放されているとはいえ、静岡地裁の決定を受けた静岡地検はほどなく
東京高裁に即時抗告を申し立てて(つまり地検は地裁の判断を不服として)いますので
裁判制度の上は晴れて無罪釈放となったわけでないのですな。
ということは、まだ有罪の可能性も全く無いとは言えないのではないかということになりますが、
たまたまにもせよ知り合いに袴田事件の冤罪に関心を寄せる向きが近しいところにいて、
静岡地裁が先の決定を導く過程はいささかなりとも予て聞き及んでいたものですから、
地裁決定の方にこそ理があると考えているのでありますよ。
48年に及ぶ収監というのは世界一長い収監期間とも言われるようですけれど、
静岡地裁の再審開始要旨には次のようなことが示されてあるのだそうです。
袴田は捜査機関によりねつ造された疑いのある重要な証拠によって有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきた。
無罪の蓋然性が相当程度あることが明らかになった現在、これ以上、袴田に対する拘置を続けるのは耐え難いほど正義に反する状況にある。
極めて長期間にわたり、恐怖に脅かされながら拘置し続けられたということで
人はどうなってしまうのか、映画で見たことを下手に描写したところでもなんにもなりません。
これはもう映画を見てもらうしかありませんですね。
警察、検察、司法に携わる人はもちろんのこと、
ともすると「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の原則がありながら、
ついつい被告人とされた人物を色眼鏡で見て犯人だと煽ってしまう可能性は
それ以外の自分たちひとりひとりにもあるとなれば、冤罪が引き起こすことに
目を向けないわけにはいかないでしょうから。
お近くで自主上映会があったら、ぜひご覧になってくださいまし。