この間のTBS「世界遺産」ではエクアドルの首都キトを取り上げてましたですが、
そこにある黄金教会とも言われるラ・コンパーニャの内部は凄かったですなあ。
もはや悪趣味?といえるほどに金を使ってごちゃごちゃと壁面から天井までを
埋め尽くすさまは、さすがに過剰装飾とも思うところでありました。


金をふんだんに使うところは一般的でないにしても、
バロックにはそうした側面もあるわけですが、ゴシック、ロマネスクと遡ってみれば
そこには大きな違いがはっきりと…というわけで、
ロマネスク様式のシュパイヤー大聖堂 の中へと入ってまいります。


シュパイヤー大聖堂身廊部


大きく開けた堂内に最小限の装飾すら見られないようなくらいにさっぱりしてますですね。
西側から入って東側の内陣方向を見ているわけですが、
西は日の入りの方角、東は日の出の方角でそれぞれ闇と光に相当する。


聖堂を訪ねる者は西を背にして入ってきますので、
闇に背を向け真っ直ぐに内陣の光(イエス・キリストですな)に向かって近付いていく…
という疑似体験を認識するのに余計な装飾はむしろ邪魔てなことでもありましょうかね。


西側入口を振り返る


これは振り返り見る西側入口方向ですけれど、やっぱりさっぱりしたものです。
それだけにむしろ石壁には目が向けられて、大層な厚みであることに気付くのですな。
西、すなわち闇の側には悪魔の類いが潜んでいるとも思われるわけで、
聖堂内を守る西側の備えとして7m幅もの壁が造られているという。



これは西側扉の外側の装飾で、聖堂にたどり着いた者を祝福しているように思うも、
反面、天使 の奏楽は悪魔を撃退する手段ともなりえたのやもしれませんですね。


シュパイヤー大聖堂側廊部


と、また中に戻って、こちらは側廊を見上げたところ。
やっぱり、さっぱりしたものです。が、聖堂の外回りを見てロマネスクに触れたときに
ひとつ申し忘れたことがありまして、それがここに見てとれるという。


外光を取り入れる窓にしても何にしても上部が半円形になっておりますね。

これがゴシックになると尖頭アーチになって、天井を支えるリブ・ヴォールトとも
しっくりくるようになるわけですが、ここではまだ交差ヴォールトが使われているようで。


とまあ、堂内のさっぱり感を繰り返してますが、それはそれで目を向けるものが乏しい分、
堂内では内省的になることを促す効果があったりするのかなと思ったりもします。
ですが、全くもって装飾的要素が無いわけではありませんで、例えばこのような。





中世のものとばかりはいえないものかなと想像されるものもありますけれど、
柱にはさりげなくこんな彫刻が見られたりして、こういうのを目にしますと、
時代をタイムスリップする感じがしますですね。



おっと、さりげなくという点ではこれも聖堂の外にはなりますが、
西側入口の扉を向き合ってやおら真上を見上げてみると、丸い穴のその上に
聖母マリアの戴冠シーンが描かれているのを発見できます。
偶然見つけましたが、結構これは見過ごしてしまうところではないですかね。



後になって、こうした隠れ装飾が他にもあったのかもてな気がしましたが、
それは後の祭りとして、この後はクリプタ(地下墓所)に入って…となるところ。
ま、これは次の機会というこで。


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