・・・と、マルス信州蒸留所 で朝からウイスキーをちびりとした後には、
「かんてんぱぱガーデン」というところに立ち寄ったのでありました。
なんでも「知っている人はみな知っている」(当たり前ですが)のが「かんてんぱぱ」なのだそうですね。
例えば手ずからお菓子作りをされるような方にはおなじみのブランドでもあるようす。
正式な会社名は伊那食品工業株式会社、長野県伊那市に本社をおくも
「かんてんぱぱ」を全国展開しているという(ことを全く知りませんでした…)。
でもって、「かんてんぱぱガーデン」といいますのは、その本社工場の敷地の木立の中に
さまざまな施設をこしらえて一般の人に公開・開放している場所であるとか。
ホールやらミュージアムやらもあったようですが、
差し当たり「かんてんぱぱショップ」(要するに売店です)に寄ってみたのですよ。
母親はショップをぶらり、父親もそれにくっついてぶらり…。
その間にこちらは有難いもてなしを享受していたのでありまして。
寒天ゼリーの試食コーナーがありましてですね、
提供される味は日替わりでもあるのか、「本日の試食」はコーヒー味とマスカット味。
このときは旅の間じゅう暑い日々でしたが、この日も朝から気温上昇中でありましたから、
ひんやりとした寒天ゼリーの食べ放題は実にありがたい。
といって、さほど「おかわり」してはおりませんが、
たくさんいた子供たちの中にはこの冷蔵庫から勝手にがさがさ持ち出そうとして、
お母さんからきついお叱りを受けている場面も見られましたですよ(笑)。
売店は建物の一部分であって全体的には工場であることから、
生産ラインの一部をガラス越しに見学できるようになってましたですが、
ショップを訪ねる人の多くは買物(と試食)がお目当てでもあるようで
見学コーナーを見に行く人はほとんどいませんでしたなあ。
(ま、地元の人が買物に来てて、何度も見てるし…という人もおりましたでしょう)
とまれ、ちょいと覗いてみることにして、まずは予備知識。
寒天はどうして固まるのか…という解説を引用してみるとします。
お湯の中で、寒天の成分はばらばらに存在しています。温度が下がると次第に寒天の成分同士が集まってきて水を抱えながら絡まっていきます。ちょうど寒天の成分でできた網が、水を閉じ込めているような感じです。これが寒天のゼリーです。ちなみにこの網が食物繊維です。
固まったゼリーに熱を加えていくと、絡まっていた寒天がほぐれてばらばらになり、液体となります。このように寒天の溶けた液体は、温度が低くなると固まってゼリーとなり、高くなると液体になります。固まる温度と融ける温度に大きな差があるのが特長です。
まあ、温めれば融け、冷やすと固まるということは分かりますが、
食物繊維が水を抱えて絡まるとあのゆるぅいぷるぷるができるということなのですな。
ですが、それも水を加えたときの性質ですから、
乾燥させたときの形状はいろいろに作れる…となると加工会社の腕の見せ所かと。
実際いろいろあるようです。
で、生産ラインの方ですが、よく工程を見下ろす形はありますが、ここでは
見学者と作業されている方がガラスの入った仕切り壁ごしに同一平面上にいるものですから、
こちらから覗き見る一方で作業者側からもこちらがよく見える。
向こうからすれば「あ、来た来た!」なんつう感じでもありましょうか、
いったいどちらが見られているのか分からないような状況は何とも面映いといいますか。
ですので、いささか写真も遠慮気味になったりするわけですが、
ともあれ上は寒天の加工食品が自動的にパウチに封詰めされる機械。
そして下はその封詰めされたものが流れてきて、
X線によって異物が混入していないかを検査する機械。
どこの工場を見学しても思うことですが、
その場の必要に応じた機械を作り出す日本の技術は大したものですなあ。
さりげなくそんなふうに思いますですよ。
…ということで、伊那路を後にして帰途に。
最後の名残りに諏訪湖を眺めやって東京に帰ってきたのでありました。
前半はもっぱら宿場町探訪、後半はもっぱら工場見学みたいになってしまいましたが、
両親もそれなりに楽しんでいたようなので、これはこれでまずまずの南信州紀行ではなかったかと。